リンパ浮腫患者に対してもオンライン治療が効果がある 

今回は、リンパ浮腫患者さんに対してオンライン治療で対応した症例報告を紹介します。

 

前回は変形性膝関節症患者さんに対してオンラインでのリハビリが効果があるという論文を紹介しました。

変形性膝関節症患者に対するオンラインリハビリの効果は?  

2022年6月20日

変形性膝関節症患者の治療として遠隔リハビリは効果がある 

2022年6月21日

最近は多くの分野でオンライン医療が注目されています。

 

一方でがん患者さんが悩む問題の一つとしてリンパ浮腫があります。

リンパ浮腫は完全に治癒することはできませんが、早期に治療開始すれば、著しい改善と悪化の阻止をもたらすことができるといわれています。

しかし、十分な訓練を受けたセラピストは不足しており、自宅の近くで継続してケアを受けることができないことが問題となっています。

そのような背景の中、オンライン医療が注目されているというわけです。

 

そこで今回は、リンパ浮腫患者さんに対してオンライン治療で対応した症例報告を紹介します。

まとめ
・リンパ浮腫患者さんに対してオンライン治療で対応した症例報告を紹介。

・オンラインでのセルフケア獲得は可能であるが、患者さんがオンラインの指示に厳密に従っていないと増悪が認められることもある。

・オンライン治療を成功させるためには、患者が自己管理に責任を持つような参加型のアプローチが必要。

・近くにリンパ浮腫外来がない、時間がなくて通えないといったリンパ浮腫患者さんに広く普及される世の中になったらいいですね。

【リンパマッサージセルライトスパッツ】で美脚に

リンパ浮腫の治療

集中期

集中期とは主に病院での治療で 四肢のサイズを小さくするために行われ、四肢の縮小が安定するまで続けられます。

  • 手動リンパドレナージ(MLD)-訓練を受けたセラピストが行います。
  • スキンケア
  • 圧迫療法主に多層リンパ浮腫包帯、MLLB-ただしストッキングも試すことができます)
  • 運動

維持期

自宅でのセルフケアが中心となり、四肢サイズの再発を防ぐことがコンセプトとされています。

  • 簡単なリンパドレナージュ(SLD)
  • スキンケア
  • 圧迫療法(ストッキング-装着技術が完成していれば包帯も使用可能)
  • 運動
【リンパマッサージセルライトスパッツ】で美脚に

紹介する論文

今回の論文ではケアプランとして、病気についてのカウンセリング、包帯やSLDのトレーニング、自宅でのセルフケアを長期的に継続するための動機付けを中心に行っています。

「Online Complex Decongestive Therapy (CDT) Initiation for Lymphoedema – A Case Study. Ramachandran A, Gogia S, Rekha A. Stud Health Technol Inform. 2022 Jun 6;290:1134-1135」 2022年に発行された最新の論文になります。

【リンパマッサージセルライトスパッツ】で美脚に

対象

Online Complex Decongestive Therapy (CDT) Initiation for Lymphoedema – A Case Study. Ramachandran A, Gogia S, Rekha A. Stud Health Technol Inform. 2022 Jun 6;290:1134-1135

4月14日から24日にかけて、Zoom®を使って、1回30分から120分程度のオンラインセッションが計7回行われました。

最初の2つのセッションでは、患者さんは手足の洗浄とケアについて学び、手足の測定方法を学びました。

その後のセッションでは、包帯の巻き方や、マッサージやエクササイズなどのセルフケアの方法について説明しました。

 

しかし、2週間後、ンパ液の排出(リンパ漏)とともに、感染が再発したことがわかりました。

セルフケアの継続に甘さがあり、ペニシリンの経口投与を、アドバイスを受けていたにもかかわらず、行われていなかったのです。

患者は、ペニシリンと適切な包帯の巻き方について再度カウンセリングを受けたところ、数日後、リンパ漏れは止まりました。

今では自己管理を続ける意欲が十分であり、四肢のボリュームは継続的に改善されていると報告されています。

【リンパマッサージセルライトスパッツ】で美脚に

結論

While we had done lymphoedema care remotely before [5], but those were either revisits or done through trained local volunteers, who had understood CDT well. They interacted physically to counsel and train the patients, besides updating the software. Consultation and advice on antibiotics and other issues was routed through them. This is our first case of complete online CDT provision. There are challenges in implementing totally online care. The occurrence of ADLA showed that patients had not followed online instructions strictly. Continuous follow up was necessary to ensure the patient’s understanding and trust with much improvement. Lymphoedema management require travels to therapist clinic for draining and skin care. This can be reduced through online management thereby reducing the cost. Participatory approach by involving patients to take responsibility of their selfmanagement is a must for success of online CDT. We have showcased that Telecare for lymphoedema treatment and management is time saving and cost effective. With attention to detail, and good follow up quality does not suffer. We are now regularly tendering online support, and hope to do more such cases even when the lockdown is no longer an issue.

Online Complex Decongestive Therapy (CDT) Initiation for Lymphoedema – A Case Study. Ramachandran A, Gogia S, Rekha A. Stud Health Technol Inform. 2022 Jun 6;290:1134-1135

著者らは以前にも遠隔でリンパ浮腫のケアを行ったことがありますが、それはリンパ浮腫の治療に対してよく理解している訓練を受けた地元のボランティアを通じて行われたものでした。

今回はリンパ浮腫治療をオンラインで提供した最初のケースです。

完全なオンライン診療の実施には、課題もあります。

患者さんがオンラインの指示に厳密に従っていなかったことで増悪が認められました。

患者さんの理解と信頼を得るために、継続的なフォローアップが必要であるようです。

オンライン治療を成功させるためには、患者が自己管理に責任を持つような参加型のアプローチが必要です。

 

最初からすべてオンラインで治療をするのは、なかなか難しいようですね。

しかし、オンラインでもセルフケアの獲得は可能なようですので、自己管理をしっかり行ってもらうような工夫があればオンライン治療も時間やコストの面で有用なようですね。

 

近くにリンパ浮腫外来がない、時間がなくて通えないといったリンパ浮腫患者さんに広く普及される世の中になったらいいですね。

【リンパマッサージセルライトスパッツ】で美脚に
まとめ
・リンパ浮腫患者さんに対してオンライン治療で対応した症例報告を紹介。

・オンラインでのセルフケア獲得は可能であるが、患者さんがオンラインの指示に厳密に従っていないと増悪が認められることもある。

・オンライン治療を成功させるためには、患者が自己管理に責任を持つような参加型のアプローチが必要。

・近くにリンパ浮腫外来がない、時間がなくて通えないといったリンパ浮腫患者さんに広く普及される世の中になったらいいですね。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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