変形性膝関節症患者に対するオンラインリハビリの効果は?  

今回は、webベースのオンラインで変形性膝関節症患者に対して遠隔リハビリの効果を検討した論文を紹介します。

 

このブログでは変形性膝関節症患者さんのリハビリが大事なことを紹介してきました。

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運動はもちろんのこと、フィードバックやカウンセリングなんかも常用な要素でしたね。

 

しかし、最近では、新型コロナ感染の影響で対面でのリハビリというのが困難になることも少なくない状況となっています。

そのような中で着目されているのが遠隔医療です。

診察なんかは、オンラインで行うことが普及しつつありますね。

実際に運動をしてもらうリハビリなんかはオンラインで実施できるのでしょうか?

 

そこで今回は、webベースのオンラインで変形性膝関節症患者に対して遠隔リハビリの効果を検討した論文を紹介します。

まとめ
・webベースのオンラインで変形性膝関節症患者に対して遠隔リハビリの効果を検討した論文を紹介。

・毎日メールで5-15分程度の動画を6週間配信し、運動の実施や質問について連絡を受け付けています。

・介入の結果、疼痛、QOL、運動機能、運動恐怖感などすべての項目において改善が認められています。

・今回の研究ではオンラインでの変形性膝関節症患者に対するリハビリが、臨床的に適切な痛みの減少、身体機能およびHRQoLの増加、ならびに身体活動に対する恐怖心の減少に関連することを示唆しました。

・高齢者になるとタブレットやネットワークをうまく活用できない方も多いでしょうから、その辺が課題でしょうね。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、webベースのオンラインで変形性膝関節症患者に対して遠隔リハビリの効果を検討した内容になっています。

「Nero H, Dahlberg J, Dahlberg LE. A 6-Week Web-Based Osteoarthritis Treatment Program: Observational Quasi-Experimental Study. J Med Internet Res. 2017 Dec 18;19(12):e422. doi: 10.2196/jmir.9255.」 2017年に発行された論文になります。

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対象

We enrolled 350 patients who were recruited online and completed the initial health journal in the 6-week program. We asked patients to complete an eHealth journal and e-questionnaires, including pain level assessed by a numerical rating scale, as well as a physical function evaluation using the 30-second chair-stand test. In addition, we assessed HRQoL using the 3-level version of the EQ-5D. We also asked participants whether they experienced difficulty walking and were afraid of physical activity due to their OA and their desire for surgery. We collected descriptive data and compared pre- versus postintervention data. As a reference group, we included results retrieved from the Swedish well-structured face-to-face self-supportive OA management program Better Management of Patients With Osteoarthritis (BOA).

Nero H, Dahlberg J, Dahlberg LE. A 6-Week Web-Based Osteoarthritis Treatment Program: Observational Quasi-Experimental Study. J Med Internet Res. 2017 Dec 18;19(12):e422. doi: 10.2196/jmir.9255.

対象は、変形性膝関節症の患者350名(62.0歳、男111名、女239名)です。

患者にはeHealth journalとe-questionnairesを記入してもらい、数値評価尺度による疼痛レベルの評価、30秒椅子立ち上がりテストによる身体機能評価などを行っています。

さらに、EQ-5Dの3レベル版を用いてHRQoLを評価しました。

また、OAによる歩行困難や身体活動への不安の有無、手術の希望も調査しています。

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方法

The advertisements were placed on search engines and social networks. The program is accessed by using a smartphone, tablet, or computer and encourages user activity by sending email prompts to participants on a regular basis, as described in detail previously [12]. An orthopedic surgeon and a physiotherapist, using synchronous and asynchronous chat conversations, supervised the clinical progress and were responsible for making a correct patient diagnosis and for identifying eligible patients. The program contained 2 telephone consultations with a physiotherapist that were compulsory, 1 at the start and 1 after 6 weeks. Participants’ costs were covered through either a private or a public health plan.

Nero H, Dahlberg J, Dahlberg LE. A 6-Week Web-Based Osteoarthritis Treatment Program: Observational Quasi-Experimental Study. J Med Internet Res. 2017 Dec 18;19(12):e422. doi: 10.2196/jmir.9255.

介入方法としては、毎日メールで5-15分程度の動画を6週間配信しています。

その内容は、 OA、身体活動の効果、自己管理、運動療法についてとなっています。

対象者は運動を完了したら報告、チャットで質問も可能としています。

そして、介入前後の評価結果を比較しています。

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結果

Nero H, Dahlberg J, Dahlberg LE. A 6-Week Web-Based Osteoarthritis Treatment Program: Observational Quasi-Experimental Study. J Med Internet Res. 2017 Dec 18;19(12):e422. doi: 10.2196/jmir.9255..

対象者の特徴は職業は「働いている」が最も多く、「病気休暇中」は4.0%(14/350人)でした。

身体活動レベルは週30分未満(97/350、27.7%)と回答した者が大半でした。

 

こちらの表は介入前後の評価結果の推移を示しています。

疼痛、QOL、運動機能、運動恐怖感などすべての項目において改善が認められています。

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Nero H, Dahlberg J, Dahlberg LE. A 6-Week Web-Based Osteoarthritis Treatment Program: Observational Quasi-Experimental Study. J Med Internet Res. 2017 Dec 18;19(12):e422. doi: 10.2196/jmir.9255..

こちらのグラフはベースラインの痛みの強度と痛みの改善の程度の関係性を示しています。

ベースラインの痛みが少ない患者でも多い患者でも改善が見られましたが、改善を示した患者の多くは、ベースライン時の痛みがより重度でありました。

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結論

The reported data suggest that participation in Joint Academy is associated with a clinically relevant decrease in pain and an increase in physical function and HRQoL, as well as a decreasing fear of physical activity. This innovative Web-based OA treatment is scalable, is population specific, and can reach a large number of individuals with impaired joints who have Internet access. The results, seemingly similar to those obtained with a face-to-face supported OA self-management program, have to be confirmed in a randomized controlled trial.

Nero H, Dahlberg J, Dahlberg LE. A 6-Week Web-Based Osteoarthritis Treatment Program: Observational Quasi-Experimental Study. J Med Internet Res. 2017 Dec 18;19(12):e422. doi: 10.2196/jmir.9255..

今回の研究ではオンラインでの変形性膝関節症患者に対するリハビリが、臨床的に適切な痛みの減少、身体機能およびHRQoLの増加、ならびに身体活動に対する恐怖心の減少に関連することを示唆しています。

この革新的なウェブベースのOA治療は、拡張性があり、集団に特化しており、インターネットにアクセスできる関節に障害のある多くの人々に届けることができます。

 

オンラインでのリハビリも効果が認められる時代になってきているようですね。

高齢者になるとタブレットやネットワークをうまく活用できない方も多いでしょうから、その辺が課題でしょうね。

今回の研究では、コントロール群が設定されていなかったので、厳密にはオンラインリハビリの効果とは言えません。

追加試験として、コントロール群を設定した研究を行っていますので、後日それを紹介します。

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まとめ
・webベースのオンラインで変形性膝関節症患者に対して遠隔リハビリの効果を検討した論文を紹介。

・毎日メールで5-15分程度の動画を6週間配信し、運動の実施や質問について連絡を受け付けています。

・介入の結果、疼痛、QOL、運動機能、運動恐怖感などすべての項目において改善が認められています。

・今回の研究ではオンラインでの変形性膝関節症患者に対するリハビリが、臨床的に適切な痛みの減少、身体機能およびHRQoLの増加、ならびに身体活動に対する恐怖心の減少に関連することを示唆しました。

・高齢者になるとタブレットやネットワークをうまく活用できない方も多いでしょうから、その辺が課題でしょうね。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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