今回は、変形性膝関節症患者に対して、運動動画の配布と電話でのカウンセリングを行うことで、QOLが改善するかを検討した論文を紹介します。
最近は変形性膝関節症患者に対する運動の効果についてについて紹介しました。
変形性膝関節症患者さんに対して、運動は運動機能や疼痛を改善させるといっていいようです。
膝関節の軟骨基質成分まで改善する可能性があるのは驚きでしたね。
一方で、行っている運動は高強度の負荷ですので、なかなか実際の臨床では行えないことも多い印象です。
そんな中、運動の実施だけでなく、運動資料を配布してカウンセリングを行ったりして活動量を挙げることで、運動機能の改善が認められるという報告もあります。
変形性膝関節症患者さんに対しても、そのような介入も効果が期待できるのではないでしょうか?
そこで、今回は変形性膝関節症患者に対して、運動動画の配布と電話でのカウンセリングを行うことで、QOLが改善するかを検討した論文を紹介します。
入会金月額料金なし!楽しく続けるなら【オンラインエクササイズLOOOM】今回紹介する研究の概要
今回紹介する論文は、変形性膝関節症患者に対して、運動動画の配布と電話でのカウンセリングを行うことで、QOLが改善するかを検討した内容になっています。
「Allen KD, Yancy WS Jr, Bosworth HB, et al. A Combined Patient and Provider Intervention for Management of Osteoarthritis in Veterans: A Randomized Clinical Trial. Ann Intern Med. 2016 Jan 19;164(2):73-83」、2016年に発行された論文です。
入会金月額料金なし!楽しく続けるなら【オンラインエクササイズLOOOM】対象
Patients were eligible if they had hip OA (based on radiographic evidence in the electronic medical record (EMR)) and / or knee OA (based on radiographic evidence in the EMR or meeting American College of Rheumatology clinical criteria (22)), along with patient-reported joint symptoms ( “pain, aching, stiffness or swelling in or around a hip or knee joint with arthritis” that was present or for which patient used pain medications on most days during the last month (23). Participants also had to be overweight (body mass index (BMI) ≥ 25) and not currently meeting Department of Health and Human Services physical activity recommendations (24). Exclusion criteria are Other rheumatologic conditions Recent hip or knee surgery or injury On waiting list for arthroplasty Recent hospitalization for cardiovascular or cerebrovascular events Severe neurologic or psychiatric conditions Severe memory loss Terminal illness Nursing home residence Severe hearing or speech impairment Blindness Current participation in another OA intervention or other lifestyle change study Current pregnancy or plans to become pregnant No primary care visits at the Durham VAMC in the past 12 months.
Allen KD, Yancy WS Jr, Bosworth HB, et al. A Combined Patient and Provider Intervention for Management of Osteoarthritis in Veterans: A Randomized Clinical Trial. Ann Intern Med. 2016 Jan 19;164(2):73-83
対象は変形性膝関節症を有し、患者報告の関節症状がある、または患者が過去1ヶ月間にほとんどの日に痛み止めを使用している患者300名としました。
参加者はまた、過体重(BMI25以上)であり、現在、身体活動に関する推奨事項を満たしていないことが条件でした。
除外基準は以下の通りです。
リウマチ性疾患、 最近、股関節または膝関節の手術または負傷をした、人工関節置換術の待機者 、心血管系または脳血管系イベントによる入院歴がある、重度の神経学的または精神医学的状態、重度の記憶障害、末期症状、老人ホームに入居している、重度の聴覚または言語障害、盲目、妊娠中、または妊娠の予定がある。
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This was a twelve-month intervention focusing on physical activity, weight management and cognitive behavioral pain management strategies. Telephone calls were scheduled twice per month for the first six months, then monthly for the last six months, and were delivered by one counselor with training in OA and behavior change. Goal-setting and action-planning were major components of the intervention. Motivational interviewing strategies were employed by the counselor throughout the intervention. Participants were given written patient educational materials corresponding to intervention topics, an exercise video for patients with OA, and an audio CD of relaxation exercises.
Allen KD, Yancy WS Jr, Bosworth HB, et al. A Combined Patient and Provider Intervention for Management of Osteoarthritis in Veterans: A Randomized Clinical Trial. Ann Intern Med. 2016 Jan 19;164(2):73-83
身体活動、体重管理、認知行動的疼痛管理戦略に焦点を当てた12ヶ月間の介入を実施しました。
最初の6ヵ月間は月2回、最後の6ヵ月間は月1回の電話カウンセリングが予定され、OAと行動変容の訓練を受けた1人のカウンセラーが担当しました。
目標設定と行動計画が介入の主要な構成要素でした。
カウンセラーは介入を通じて動機づけ面接戦略を採用しました。
参加者には、介入のトピックに対応する書面による患者教育資料、OA患者のための運動ビデオ、およびリラクゼーション体操のオーディオCDが配布されました。
通常ケア群149名と介入群151名でWOMACスコアを比較しております。
いわゆる、認知行動療法や行動変容といったことに着目した介入を行った効果を検討しているわけですね。
入会金月額料金なし!楽しく続けるなら【オンラインエクササイズLOOOM】結果
Allen KD, Yancy WS Jr, Bosworth HB, et al. A Combined Patient and Provider Intervention for Management of Osteoarthritis in Veterans: A Randomized Clinical Trial. Ann Intern Med. 2016 Jan 19;164(2):73-83
こちらは6ヵ月後と12か月後のWOMACのスコアの2群で比較している結果となります。
介入6か月後では差はありませんでしたが、12か月後にはWOMACのtotal scoreとfunction subscaleが介入群で有意に改善していました。
WOMACは変形性膝関節症・股関節症に対する疾患特異的な評価尺度。構成は疼痛:5項目,こわばり:2項目,機能:17項目の3グループ,計24項目に自記式の回答となっています。
total scoreが改善したということは、変形性膝関節症患者の特異的なQOLが改善したといっていいでしょう。
function subscaleが改善していたので、特に、機能的な改善が優れていたようですね。
入会金月額料金なし!楽しく続けるなら【オンラインエクササイズLOOOM】結論
In conclusion, this patient provider intervention resulted in modest improvements in self-reported physical function and physical activity for Veterans with hip and knee OA. The provider-based intervention seemed particularly useful for increasing referrals for behavioral and rehabilitative programs. However, changes in study outcomes were modest, which may indicate that higher intensity interventions are needed to yield clinically meaningful changes in OA-related outcomes.
Allen KD, Yancy WS Jr, Bosworth HB, et al. A Combined Patient and Provider Intervention for Management of Osteoarthritis in Veterans: A Randomized Clinical Trial. Ann Intern Med. 2016 Jan 19;164(2):73-83
結論として、この認知行動的な介入は、膝関節のOAを持つ患者の自己記入による身体機能と身体活動に、わずかな改善をもたらした。
しかし、研究成果の変化はわずかであり、OA関連の成果において臨床的に意味のある変化をもたらすには、より強度の高い介入が必要であることを示しているのかもしれません
強く効果があるとは言えないようですが、動画の配布やカウンセリングなどで、体重管理や活動性向上を促すことで、自己記入での身体機能改善をもたらすようです。
もちろん高強度で運動するのがいいんでしょうが、そんなに運動ができない方には認知行動療法や行動変容的な介入を検討してもいいかもしれません。
12か月後に差が出ていますので、長期的な介入が必要かもですね。
整形外科疾患患者さんだけでなく、がん患者さんも認知行動療法的な介入が効果があることは報告されてますよ!!!
入会金月額料金なし!楽しく続けるなら【オンラインエクササイズLOOOM】・身体活動、体重管理、認知行動的疼痛管理戦略に焦点を当てた12ヶ月間の介入を実施した。
・最初の6ヵ月間は月2回、最後の6ヵ月間は月1回の電話カウンセリングが予定され、OAと行動変容の訓練を受けた1人のカウンセラーが担当した。
・参加者には、介入のトピックに対応する書面による患者教育資料、OA患者のための運動ビデオ、およびリラクゼーション体操のオーディオCDが配布された。
・介入6か月後では差はなかったが、12か月後にはWOMACのtotal scoreとfunction subscaleが介入群で有意に改善していた。
・強く効果があるとは言えないようだが、動画の配布やカウンセリングなどで、体重管理や活動性向上を促すことで、自己記入での身体機能改善をもたらすようである。
・もちろん高強度で運動するのがいいんでしょうが、そんなに運動ができない方には認知行動療法や行動変容的な介入を検討してもいいかもしれない。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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