弾性バンドでの筋トレは中等度の変形性膝関節症患者にも効果がある 

今回は、中等度の変形性膝関節症患者さんに対して、弾性バンドでの筋力トレーニングを実施することの効果を検討した論文を紹介します。

 

前回は、中等度の変形性膝関節症患者に対する高強度の運動の効果や有害事象は個人差が大きいので、運動負荷の調整には注意が必要であることを紹介しました。

重度の変形性膝関節症患者に対する運動負荷は注意が必要 

2022年6月7日

日常生活動作程度でも疼痛増強する場合もあれば、高強度の運動負荷をかけても大丈夫な場合もあるように非常に個人差が大きかったですね。

運動負荷に注意は必要でしょうが、やはり適度の運動は必要であると思います。

そのような中で、自主練習として簡便に使用可能なので弾性バンドです。

様々な動きに対応できますし、長さを調整することで運動負荷も調整できます。

 

そこで、中等度の変形性膝関節症患者さんに対して、弾性バンドでの筋力トレーニングを実施することの効果を検討した論文を紹介します。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、中等度の変形性膝関節症患者さんに対して、弾性バンドでの筋力トレーニングを実施することの効果を検討した内容の論文になっています。

「Chang TF, Liou TH, Chen CH, et al. Effects of elastic-band exercise on lower-extremity function among female patients with osteoarthritis of the knee. Disabil Rehabil. 2012;34(20):1727-35」 2012年に発行された少し昔の論文になります。

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対象

Forty-one women with mild-to-moderate knee OA were randomly assigned to one of two groups, an exercise group (n = 24; age: 65.0 ± 8.4 years), and a control group (n = 17; age: 70.8 ± 8.4 years).

Chang TF, Liou TH, Chen CH, et al. Effects of elastic-band exercise on lower-extremity function among female patients with osteoarthritis of the knee. Disabil Rehabil. 2012;34(20):1727-35

軽度から中等度の膝関節OAを有する女性41名を、運動群(n=24、年齢:65.0±8.4歳)と対照群(n=17、年齢:70.8±8.4歳)の2群のいずれかに無作為に振り分けました。

重症度はKL2が37.5%、KL3が62.5%となっています。

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方法

The exercise group performed supervised exercise with elastic bands in addition to conventional modality treatments two to three times a week for 8 weeks. The control group received only the conventional modality treatments over the same period.

The distance of the functional forward-reach, 30 s chair stand repetitions, walking function (time of a 10 m walk, timed up-and-go, and going up-and-down 13-stair tests), and Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis (WOMAC) index scores.

Chang TF, Liou TH, Chen CH, et al. Effects of elastic-band exercise on lower-extremity function among female patients with osteoarthritis of the knee. Disabil Rehabil. 2012;34(20):1727-35

運動群は、従来の治療法に加えて、弾性バンドを用いた監視下でのレッグプレス運動20分間、週2〜3回、8週間行いました。運動強度はRPE13以上、10回×3セット×2回/日となっています。

対照群は、同期間、従来の治療法のみを受けています。

機能的前方リーチの距離、30秒間椅子起立時間、歩行機能(10m歩行時間、TUG、13階段の階段昇段)、WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis)が測定されました

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結果

Chang TF, Liou TH, Chen CH, et al. Effects of elastic-band exercise on lower-extremity function among female patients with osteoarthritis of the knee. Disabil Rehabil. 2012;34(20):1727-35

こちらの表は、8週間後の運動群と対照群の、評価の結果の差を示しています。

8週間後、運動群ではすべての指標で統計的に有意な改善が認められました(p<0.001)。

機能的前方リーチ(p=0.108)と13階段昇降テスト(p=0.278)の結果を除き、2群間で改善の程度に有意差がみられた。

30秒椅子立ち上がりテスト、10m歩行テスト、TUGのプラス変化は、運動群で2.5±1.4回、1.4±1.2秒、1.6±1.1秒であり、対照群(それぞれ0.6±0.9回、0.5±1.1秒、0.3±1.1秒)より有意に優れていました(p ≤ 0.001 )。

WOMAC indexの3つのサブスケールすべてのスコアの低下は8週間後に有意になり(p≦0.05),特に痛み(-2.3±1.3),身体機能(-10.7±5.9)(ともにp≦0.01),その改善はすべてコントロール群のそれよりも有意に良好でした(p≦0.05).

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結論

A new style of resistance exercise using elastic bands with four color combinations (yellow-red, red-red, red-green, and green-green) over a period of 8 weeks can significantly improve lower-extremity function among females with mild-to-moderate knee OA.

Chang TF, Liou TH, Chen CH, et al. Effects of elastic-band exercise on lower-extremity function among female patients with osteoarthritis of the knee. Disabil Rehabil. 2012;34(20):1727-35

弾性バンドを用いた筋力トレーニング運動は、軽度から中等度の膝関節障害を有する女性において、8週間にわたって下肢機能を有意に改善することができました。

  

弾性バンドを用いたレッグプレスを行うことで運動機能や疼痛の改善が認められています。

弾性バンドは安価で簡便ですので、使用しやすいですね。

10回3セット×2回くらいならそんなに無理なくできそうなので試してみてもいいかもしれません!

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まとめ
中等度の変形性膝関節症患者さんに対して、弾性バンドでの筋力トレーニングを実施することの効果を検討した論文を紹介。

・運動群は、従来の治療法に加えて、弾性バンドを用いた監視下でのレッグプレス運動20分間、週2〜3回、8週間行った。

・運動強度はRPE13以上、10回×3セット×2回/日実施した。

・運動群は30秒椅子立ち上がりテスト、10m歩行テスト、TUG、womacの身体機能、痛みにおいて、対照群よりも有意な改善が見られた。

・弾性バンドを用いた筋力トレーニング運動は、軽度から中等度の膝関節障害を有する女性において、8週間にわたって下肢機能を有意に改善することができた。

・弾性バンドは安価で簡便ですので、使用しやすいですね。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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