重度の変形性膝関節症患者に対する運動負荷は注意が必要 

今回は、重度の変形性膝関節症患者さんに対して、高強度での運動を実施することの効果を検討した論文を紹介します。

 

早期の変形性膝関節症患者さんに対しては、高強度の運動が効果が期待できることを紹介してきました。

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高強度の運動によって運動機能や疼痛、さらには軟骨基質成分の改善まで期待できるんでしたね。

しかし、一方で、変形性膝関節症患者に対する理学療法ガイドラインでは、重度の変形性膝関節症患者への理学療法は、「介入により有意な改善がみられるも,文献数が少なく判断が困難である」と記載されており、運動負荷に注意をしなければならないような解釈でした。

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そこで、重度の変形性膝関節症患者さんに対して、高強度での運動を実施することの効果を検討した論文を紹介します。

まとめ
・重度の変形性膝関節症患者さんに対して、高強度での運動を実施することの効果を検討した論文を紹介。

・運動群は週に2回、1時間の運動を6週間実施した。運動強度は、最大心拍数(HR max)の60%以上とした。

・結果として、6週間の高負荷の運動プログラムは、痛みや機能に影響を与えなかった。

・QOL(生活の質)については、コントロール群に比べ、運動群で若干の効果がみられた。

・重度の変形性膝関節症患者さんは日常生活動作程度でも疼痛増強する場合もあれば、高強度の運動負荷をかけても大丈夫な場合もあるように、個人差が大きいようであった。

・軽度でも高強度でも患者さんの症状に注意しながら運動負荷や日常生活の負荷は調整する必要がある。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、重度の変形性膝関節症患者さんに対して、高強度での運動を実施することの効果を検討した内容の論文になっています。

「Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.」 2005年に発行された少し昔の論文になります。

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対象

Radiologists and orthopedic surgeons at the Halmstad County Hospital, in the south-west of Sweden, and general practitioners within the catchments area of this hospital, were informed about the study and asked to list patients with radiographic knee osteoarthritis on a “patients eligible for research” list. Ninety-seven fulfilled the inclusion criteria: age 35–65, living in the defined geographic area, and diagnosis of radiographic osteoarthritis of Kellgren and Lawrence grade III or more, i.e. definite osteophytes and joint space narrowing. To ensure only patients with symptoms due to knee osteoarthritis and eligible for exercise intervention were included, the following exclusion criteria were used: inflammatory joint disease, anterior cruciate ligament injury, known symptomatic injury to the menisci, hip symptoms more aggravating than the knee symptoms, about to have knee replacement surgery within 6 months, and co-morbidities not allowing exercise.

Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.

スウェーデン南西部にある病院の放射線科医と整形外科医、およびこの病院の診療圏内の一般開業医に、この研究について知らせ、放射線写真による変形性膝関節症患者を「研究対象患者」リストに掲載するよう依頼しました。

対象者の条件は、年齢35〜65歳、対象地域に居住、X線写真の変形性関節症がKellgren and Lawrence grade III以上、すなわち明らかな骨棘と関節腔狭窄を有するという診断基準を満たしていることでした。

変形性膝関節症に起因する症状を有し、運動介入に適格な患者のみを対象とするため、炎症性関節疾患、前十字靭帯損傷、半月板の既知の症状損傷、膝症状より悪化する股関節症状、6ヶ月以内に膝関節置換術を受ける予定、運動が不可能な併存疾患がある患者は除外しました。

61人の患者が対象となり、30人が運動群、31人がコントロール群に割り当てられました。

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方法

One-hour exercise sessions, twice a week for six weeks, were supervised by a physical therapist (CT). Exercises were performed at five stations at submaximal intensity (minimum 60% of maximum heart rate (HRmax)). Intensity was gradually and individually increased during the six weeks by increased lever arms or range of motion. Patients were encouraged to exercise at their most vigorous intensity possible, without losing quality in performance or severely exacerbating pain. Pain during exercise was not considered as an obstacle if the patient perceived it as “acceptable” and no increased symptoms were persistent after 24 hours . If pain exceeded this level, exercise intensity was reduced occasionally, until the “acceptable” level was found.

Patients received a thera band to perform daily pulley exercises at home. In addition, three exercises, which were considered as the most challenging to the individual, were chosen as daily home exercises. Patients were recommended to perform some kind of weight bearing submaximal activity, such as walking or their home exercises, for at least 30 minutes or two times 15 minutes every day.

The controls were told not to make any lifestyle changes. They met the physical therapist (CT) for one hour at three times; baseline, follow up at 6 weeks and 6 months. After six months they were offered exercise classes or instructions and a home-exercise program.

Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.

運動群は1時間の運動セッションを週2回、6週間行い、理学療法士が監督していました。

運動は最大心拍数(HRmax)の60%以上で行われました。

強度は、6週間の間に、徐々に、個別に増加しています。

患者さんには、パフォーマンスの質を落とさず、痛みをひどく悪化させることなく、可能な限り強い強度で運動するよう促しました。

運動中の痛みは、患者が「許容範囲」と認識し、24時間後に症状の悪化が認められない場合は、障害とはみなしていません。

もし、痛みがこのレベルを超えるようであれば、「容認」できるレベルまで、時々、運動強度を減らしています。

 

実際の運動内容は以下の通りです。

①自転車エルゴメーター 10分間

②トランポリン 5分間

③ステップボード 5分間

④筋力トレーニング 15分間
(ヒップリフト、シットアップ、ヒップアブダクション、片脚起立)

⑤プーリー 10分間
(股関節屈曲、伸展、外転、内転)

⑥ストレッチ 10-15分間

⑦(ウォーキング 30分間)

 

さらにセラバンドを配布し、毎日のホームエクササイズを指導しています。

患者は毎日少なくとも30分または15分×2回、歩行や自宅でのエクササイズなど、何らかの体重負荷のかかる最大下限の活動を行うことが推奨されました。

 

コントロール群には、生活習慣を変えないように指示し、ベースライン、6週間後、6ヶ月後のフォローアップの3回、理学療法士に1時間面会しています。

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結果

Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.

こちらの表は、ベースラインでの2群の基本属性を示しています。

年齢や性別、BMIなどは変わりありません。

 

また、今回の研究ではKOOSという自己記入式の質問紙で評価を行っています。

KOOSというのは、疼痛、症状、日常生活動作、スポーツ、QOLについて自分で評価する質問紙です。

こちらの結果もベースラインで2群に差はありません。

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Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.

こちらの表は、6週間ごと6か月後のKOOSの変化量を2群間で比較しています。

QOLの項目だけは、運動群で明らかな改善があったようです。

しかし、それ以外の項目では、その改善度に2群に差はなかったようです。

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Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.

こちらのグラフは、介入後6週間の時点での、KOOSの疼痛の評価結果の変化量を示しています。

運動群でもコントロール群でも、疼痛が改善している人も増悪した人も存在しており、個人差が大きいようです。

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結論

A six-week high-intensive exercise program had no effect on pain or function in middle-aged patients with moderate to severe radiographic knee OA. Some effect was seen on quality of life in the exercise group compared to the control group.

Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Ekdahl C.. Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial .BMC Musculoskelet Disord. 2005 May 30;6:27. doi: 10.1186/1471-2474-6-27.

中高年の中等度から重度の変形性膝関節症患者において、6週間の高負荷の運動プログラムは、痛みや機能に影響を与えませんでした。

QOL(生活の質)については、コントロール群に比べ、運動群で若干の効果がみられました

 

さらに考察では、「最大心拍数の60%以上の自転車エルゴメータや立位での下肢筋力強化運動は 変形性膝関節症のアライメント不良を増悪させ,軟骨組織に 対して悪影響を与えたと推測された。」と記載されています。

しかし、コントロール群でも疼痛が増悪した患者さんも同じくらいいますし、運動群でも疼痛が改善している人もいます。

つまり、重度の変形性膝関節症患者さんは日常生活動作程度でも疼痛増強する場合もあれば、高強度の運動負荷をかけても大丈夫な場合もあるように、個人差が大きいようですね。

今回は、運動機能などは評価されておらず、自己評価の結果のみで比較しているので、高強度運動の効果がないとまでは言えません。

しかし、自己評価というのは重要視したほうがいいですので、軽度でも高強度でも患者さんの症状に注意しながら運動負荷や日常生活の負荷は調整する必要がありそうですね。

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まとめ
・重度の変形性膝関節症患者さんに対して、高強度での運動を実施することの効果を検討した論文を紹介。

・運動群は週に2回、1時間の運動を6週間実施した。運動強度は、最大心拍数(HR max)の60%以上とした。

・結果として、6週間の高負荷の運動プログラムは、痛みや機能に影響を与えなかった。

・QOL(生活の質)については、コントロール群に比べ、運動群で若干の効果がみられた。

・重度の変形性膝関節症患者さんは日常生活動作程度でも疼痛増強する場合もあれば、高強度の運動負荷をかけても大丈夫な場合もあるように、個人差が大きいようであった。

・軽度でも高強度でも患者さんの症状に注意しながら運動負荷や日常生活の負荷は調整する必要がある。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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