運動が骨構造におよぼす影響について、以前紹介しました。
骨粗鬆症の治療の一つとして運動が挙げられます。
今日は、高齢者の骨折リスクに関する最新の研究論文を紹介したいと思います。
この論文は、骨と筋肉の相互作用が骨折リスクにどのように影響するかを調べたものです。
骨と筋肉は、加齢とともに密度や構造が低下し、骨折の危険因子となります。
骨と筋肉は、物理的や化学的なメカニズムで互いに影響し合うと考えられています。
例えば、筋力が骨密度や骨構造に影響を与えるという研究があります。
しかし、骨と筋肉の変化が骨折リスクにどのように関係するかは、まだ明らかになっていません。
この論文では、高齢男性のコホート研究を用いて、骨密度や骨構造と筋肉量や筋肉密度との相互作用が骨折リスクに及ぼす影響を検討しました。
また、筋力と骨密度や骨構造との相互作用も調べました。
この論文の目的は、骨と筋肉の組み合わせが骨折リスク評価に有用かどうかを明らかにすることです。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、高齢男性のコホート研究を用いて、骨密度や骨構造と筋肉量や筋肉密度との相互作用が骨折リスクに及ぼす影響を検討した内容となっています。
「Kirk B, et al. Interactions Between HR-pQCT Bone Density and D3 Cr Muscle Mass (or HR-pQCT Bone Structure and HR-pQCT Muscle Density) in Predicting Fractures: The Osteoporotic Fractures in Men Study. J Bone Miner Res. 2023 Sep;38(9):1245-1257. doi: 10.1002/jbmr.4874. 」。
2023年の論文になります。
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対象と方法
この研究では、米国の6つの地域から1353人の65歳以上の男性を対象にしました。
骨と筋肉の状態を測定するために、以下の4つの方法を用いました。
- HR-pQCT: 高解像度のX線CTで、手首や足首の骨の密度や構造を詳細に見ることができます。また、ふくらはぎの筋肉の量や密度も測定できます。
- D3Cr: D3-クレアチンという物質を飲んで、尿中の濃度を測定することで、全身の筋肉量を推定できます。クレアチンは筋肉に多く含まれる物質で、筋肉量と比例すると考えられています。
- 握力: 手に持った器具を握る力を測定することで、上肢の筋力を評価できます。
- 脚力: 足でジャンプするときに発生する力を測定することで、下肢の筋力を評価できます。
これらの測定を行った後、約6年間にわたって、参加者の骨折の有無を追跡しました。
骨折は、自己報告や電話インタビューによって収集し、医師によって確認しました。
骨折は、全骨折、非椎体骨折(脊椎以外の骨折)、椎体骨折(脊椎の骨折)に分類しました。
この研究では、これらの骨や筋肉の測定値と、その後に起こった骨折の発生との関係を統計的に分析しています。
具体的には、コックス比例ハザードモデルという手法を使っています。
これは、骨折のリスクを時間経過とともに比較するための手法で、骨や筋肉の測定値だけでなく、年齢や体重、生活習慣などの他の要因も考慮に入れます。
また、骨や筋肉の測定値がそれぞれ単独で骨折のリスクに影響するだけでなく、相互に影響しあって骨折のリスクに影響する可能性も検討しています。
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結果
Kirk B, et al. Interactions Between HR-pQCT Bone Density and D3 Cr Muscle Mass (or HR-pQCT Bone Structure and HR-pQCT Muscle Density) in Predicting Fractures: The Osteoporotic Fractures in Men Study. J Bone Miner Res. 2023 Sep;38(9):1245-1257. doi: 10.1002/jbmr.4874.
この表は、骨と筋肉の変数が骨折リスクに相互作用するかどうかを調べるための研究の一部です。
表は、参加者の特性を、脛骨の全体的な骨密度(Tt.BMD)と全身の筋肉量(D3Cr)の四分位数によって分けて示しています。
Q1は最も低い値、Q4は最も高い値を表します。表から以下のことがわかります。
- 年齢: Q1のTt.BMDとD3Crの両方に属する参加者は、他のグループよりも平均的に高齢でした(p<0.001)。
- 骨折: Q1のTt.BMDとD3Crの両方に属する参加者は、他のグループよりも非椎骨折(p<0.001)や全骨折(p<0.001)の発生率が高かったです。椎骨折の発生率は、Q1のTt.BMDとD3Crの両方に属する参加者とQ2-4の両方に属する参加者の間で有意な差はありませんでした(p=0.059)。
- 筋力: Q1のTt.BMDとD3Crの両方に属する参加者は、他のグループよりも握力(p<0.001)、脚力(p<0.001)、椅子立ち回数(p<0.001)、歩行速度(p<0.001)が低かったです。
- その他の要因: Q1のTt.BMDとD3Crの両方に属する参加者は、他のグループと比べて、体重(p<0.001)、筋肉量(p<0.001)、筋肉密度(p<0.001)、骨密度(p<0.001)、身体活動量(p<0.001)、認知機能(p=0.006)が低く、過去の転倒歴(p=0.038)が高かったです。アルコール摂取量(p=0.004)と持病数(p=0.033)についても有意な差がありましたが、傾向は一貫していませんでした。
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Kirk B, et al. Interactions Between HR-pQCT Bone Density and D3 Cr Muscle Mass (or HR-pQCT Bone Structure and HR-pQCT Muscle Density) in Predicting Fractures: The Osteoporotic Fractures in Men Study. J Bone Miner Res. 2023 Sep;38(9):1245-1257. doi: 10.1002/jbmr.4874.
この表は、骨密度と筋肉の変数の間に相互作用があるかどうかを調べるために、コックス比例ハザードモデルを用いた結果を示しています。
骨密度は、橈骨と脛骨の末端部の全体的な骨量を表すTt.BMDで測定されました。
筋肉の変数は、D3Cr筋肉量、ふくらはぎの筋肉の体積と密度、握力、下肢筋力の5つでした。
骨折の種類は、非椎体骨折、椎体骨折、全骨折の3つでした。
表の結果から、橈骨と脛骨の骨密度と筋肉の変数の間に一貫した相互作用は見られなかったと言えます。
他の表の結果では、脊椎骨折については、下肢筋力と遠位橈骨のCt.BMD(皮質骨密度)との間にp=0.036で有意な相互作用が見られました。
Ct.Ar(皮質面積)と筋肉の変数には相互作用は認められませんでした。
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Fig. 1からFig. 4までの結果をまとめます。
- 遠位橈骨と脛骨のTt.BMDとD3Cr筋肉量の両方がQ1(低い方)にあるグループは、他のグループと比べて非椎体骨折および全骨折のリスクが有意に高いことがわかります(HR=2.10、95%信頼区間[CI] 1.25–3.52、p<0.001)。一方、他の組み合わせのグループでは、ハザード比の信頼区間が重なっているため、骨折のリスクに有意な差はないと考えられます。
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考察
この研究の結論として、高齢男性を対象としたこの前向きコホート研究では、骨と筋肉の変数間に一貫した相互作用は見られませんでした。
骨と筋肉の両方の指標の評価が、高齢者の骨折の発生に対する追加的な予後価値を提供するかどうかを明らかにするためには、より大きなサンプルサイズとより長い追跡期間が必要かもしれません。
さらなる研究では、加齢に伴う骨と筋肉の喪失を持つ高齢者や、骨折リスク(および骨折後の死亡率)が高まる可能性のある合併症を持つ個人において、この仮説を再評価するべきです。
骨密度と筋量の著明な低下は骨折と関連する傾向はありますので、骨折予防として骨密度や筋量低下予防は必要と思いますが、今後の研究に期待ですね!
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がん患者さんの骨量減少をどのように管理すればいいかについてはコチラにを参考にしてみてください。
・骨密度や骨構造が低いほど、非椎体骨折や全骨折のリスクが高くなることが示された。
・筋肉量や筋肉密度、筋力が低いほど、骨折リスクが高くなる傾向があったが、統計的に有意ではなかった。
・筋肉量や筋肉密度、筋力が骨密度や骨構造に影響を与える可能性があることや、骨折の発生には他の要因も関与することを考慮する必要がある。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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