有酸素運動の運動強度はどのように設定するか

このブログではよく運動の重要性をお伝えしていますが、時折運動強度についても記載しています。

40%の運動強度だの、80%の運動強度だの記載していることが多いですが、どれくらいの強度で、どうやって評価したらいいのかよくわからないですよね。

運動強度は低強度、中等強度、高強度で分類されることが多いですが、今回は、特にウォーキングや自転車こぎといったような有酸素運動の運動強度の評価方法について説明します。

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有酸素運動

最大酸素摂取量

最大酸素摂取量とは、運動時にどれだけの酸素を取り入れ利用できるかを示す数値です。

トレッドミル(ランニングマシン)や自転車エルゴメーターなどを用いて、徐々に負荷を上げて運動をしてもらうことで、最大酸素摂取量を測定することができます。

 

機械がない場合には、6分間連続で歩く検査を行うことでも、最大酸素摂取量の予測が可能です。

そして、最大酸素摂取量がわかると、何メッツくらいの運動負荷をかけるのが適切かがわかります。

メッツというのは、安静時を「1」として、どの活動が安静時の何倍の酸素を消費するかの指標です。

具体的には下記のような表を用います。

厚生労働省、健康づくりのための運動指針 2006

この検査では適切な運動負荷量を測定できます。呼吸や心臓の病気を持っている患者さんなどは、病院でこのような検査を行うこともありますが、一般的には行われることが少ない検査ですので、日常的な運動には不向きでしょう。

メッツだけで考えると、速歩(早歩き)の4メッツくらいが中等強度の運動とされることが多いですね。

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心拍数(脈拍)

客観的な評価として簡便なのが心拍数です。

自分で測定するときは、人差し指~小指で反対の手の親指の付け根の手首を触れてみてください。

「トクットクッ」と拍動を感じられると思います。

これが1分間に何回なるかが心拍数とほとんど同じ意味になります。

 

測定方法としては、15秒間の脈拍の回数を測定して、4倍するというのが多いです。

最近では、脈拍数や酸素飽和度を測定できる機器も安価で購入できるようになってきたので、そちらを購入してもいいかもですね。

注意点としては、血圧が低い人は脈拍を指で感じることが難しいです。また、不整脈と言って脈の乱れがある方は測定が難しかったりもします。

 

この心拍数を用いて、運動強度を計算する方法を「カルボーネン法」といいます。

計算式は、「(220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数」です。なんのことだかわかりませんよね?

「220-年齢」はその年齢の人の予測最大心拍数、つまり、最大で心拍数がこれくらいまで上がりますよという意味です。40歳だと180、60歳だと160になります。

そして、「安静時心拍数」とは、動いていないとき(安静にしているとき)の1分間の心拍数のことです。

そして、計算式の「運動強度」に何%くらいの運動負荷にするかを記入すると、その運動負荷になる心拍数が計算されるということです。

 

運動強度は、低強度であれば10-30%(0.1-0.3)、中等強度であれば40-60%(0.4-0.7)、高強度であれば70-90%(0.7-0.9)くらいになります。

例えば安静時心拍数が80拍の50歳の方が、50%の負荷で運動を行おうと思ったら、その心拍数は「((220-50)-80)×0.5+80」=「(170-80)×0.5+80」=「90×0.5+80」=「45+80」=135拍となります。

つまり、1分間の脈拍数が135拍になるように運動を行ったらいいということです。

この計算もなかなか覚えにくいし、めんどくさいですよね・・・。

 

そこで、私がいつも暗算で何となく計算している方法を教えます。先ほどと同じ、安静時心拍数が80拍の50歳の方で考えてみましょう。

まず、予測最大心拍数は、220-50=170拍です。これは最大で170拍まで上がりますよって意味ですね。

次に、安静時心拍数が80拍ですから、「最大220-安静80」で90拍です。これは、最大から安静を引いた数字なので、これだけ余力がありますよってことです。

心拍数が90拍上昇すると余力がない、つまり100%の負荷ということになります。

つまり、運動負荷が10%上がるたびに、心拍数は9拍上昇するということですね。

今回は50%の運動負荷にしたいので、45拍上昇させましょう。安静時が80拍なので45拍を足して135拍になれば50%の運動負荷になります。

どうですか?計算式とにらめっこするよりは簡単かなと思います。

注意点としては、貧血がある方は脈拍数が非常に早くなるので、この計算が適しているかは不明です。過剰な脈拍の上昇に注意して運動するようにしましょう。

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自覚的疲労感(修正ボルグスケール、フェイススケール)

「検査も計算も難しい!!」という方は、単純に自分のきつさで評価してもらって構いません。

良く使用されるのは修正ボルグスケールといって、0-10の間できつさを表す評価表です。

Borg G. Psychophysical scaling with applications in physical work and the perception of exertion. Scand J Work Environ Health1990;16:55-58.

「0」がきつさを感じない、「10」が非常に強いきつさという表現になります。

「4」の多少きついくらいを中等強度として、目標にすることが多い印象です。

最近ではフェイススケールと言って、6つ並んだきつそうな表情から、どれが自分のきつさに合っているかを選んでもらうという評価も信頼性があるという論文が報告されています。

計算が難しい方は、このような自覚症状で評価してもいいでしょうね

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まとめ
・有酸素運動の運動強度の設定方法について解説。
・運動強度の測定方法は、「最大酸素摂取量」、「心拍数」、「自覚的疲労感」が挙げられる。
・検査や計算が難しい場合には、自覚的疲労感での評価が簡単。

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