前回は、抗がん剤治療による末梢神経障害(CIPN)と転倒リスクの関係について調査している論文を紹介しました。
CIPNの症状がある患者さんは、症状がない患者さんよりも転倒するリスクが約3倍高いので注意が必要でしたね。
CIPNは長期間症状が続く、治りにくい合併症です。
一体どれくらいの患者さんが、どれくらいの期間症状が続くのか気になりますよね。
そこで、CIPNの発生率やリスク要因について調べられている論文を紹介します。
ひとりではできなかった?[ライザップ]他のジムとはここが違う。今回紹介する研究の概要
今回紹介する論文は、様々なデータベースを検索して、CIPNに関する研究を集め、CIPNの発生率やリスク要因について調べられている内容になっています。
「Seretny M, et al. Incidence, prevalence, and predictors of chemotherapy-induced peripheral neuropathy: A systematic review and meta-analysis. Pain. 2014 Dec;155(12):2461-2470.」 2014年に発行された論文になります。
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方法
この論文では、様々なデータベースを検索して、CIPNに関する研究を集めました。検索には、特定のキーワードが使用され、対象となる研究が選択されました。
キーワードは、
- 「抗がん剤誘発性末梢神経障害」
- 「CIPN」
- 「オキサリプラチン誘発性末梢神経障害」
- 「ボルテゾミブ誘発性末梢神経障害」
- 「パクリタキセル誘発性末梢神経障害」
となっており、CIPNに関連するものです。
調査対象として、抗がん剤治療を受けた成人患者さんが含まれます。
ただし、動物実験や小児患者さんを対象とした研究は除外されました。また、CIPNの治療や予防に関する研究も除外されました。
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結果
Seretny M, et al. Incidence, prevalence, and predictors of chemotherapy-induced peripheral neuropathy: A systematic review and meta-analysis. Pain. 2014 Dec;155(12):2461-2470.
この論文では、31の研究がまとめられ、4179人の患者さんのデータが分析されました。
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Seretny M, et al. Incidence, prevalence, and predictors of chemotherapy-induced peripheral neuropathy: A systematic review and meta-analysis. Pain. 2014 Dec;155(12):2461-2470.
結果として、抗がん剤治療後1か月以内には、約68.1%の患者さんが神経痛(CIPN)を経験しました。
3か月後には、その割合は60.0%に減少しました。
さらに時間が経つと、神経痛の割合は減りますが、6か月後でも30.0%の患者さんが神経痛に悩まされていました。
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また、使用する抗がん剤によって、CIPNの発生率に違いがありました。
オキサリプラチンやパクリタキセル、シスプラチン、ボルテゾミブなどの抗がん剤が、CIPNの発生率が高いようです。
さらに、4つの研究では、遺伝的なリスク要因が報告されています。
また、4つの研究では、治療前の神経障害や喫煙、腎臓の働きなどがCIPNのリスク要因として挙げられています。
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結論
この論文では、治療後1か月以内には、約68.1%の患者さんがCIPNを経験し、その後も時間が経つにつれて発生率は減少しますが、6か月後でも30.0%の患者さんがCIPNに悩まされていました。
この論文では、CIPNの評価方法についても言及されています。複数の評価方法が使用されており、それぞれが異なる特徴を持っています。
研究者は、これらの評価方法を適切に選択し、CIPNの発生率を正確に測定する必要があります。
また、CIPNのリスク要因についても考察されています。
いくつかの研究では、治療前の神経障害や喫煙、腎臓の働きなどがCIPNのリスク要因として挙げられています。
ただし、これらのリスク要因はまだ確定的なものではありません。
これらの情報を参考に、抗がん剤治療を受ける前に、医師と相談してCIPNのリスク要因を確認することが大事ですね。
そして、治療中や治療後にCIPNの症状が現れた場合は、早めに医師に相談することが大切です!
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CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
・抗がん剤治療後1か月以内には、約68.1%の患者さんが神経痛を経験した。
・時間が経つと神経痛の割合は減りますが、6か月後でも30%の患者さんが神経痛に悩まされている。
・神経痛のリスクを高める要因として、遺伝的なものや、治療前の神経障害、喫煙、腎臓の働きなどが挙げられる。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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