がん患者の痛みの原因、評価について解説

前回は、がんサバイバーも知っておきたい骨粗鬆症について紹介しました。

がん患者の身体機能低下~骨粗鬆症について~

2022年2月24日

最近はフレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、骨粗鬆症といった、一見がん患者さんとは関係ないようで、実は関係あるような内容の話を紹介してきました。

がん患者の運動機能低下~ロコモティブシンドロームについて~

2022年2月23日

がん患者の運動機能低下~サルコぺニアについて~

2022年2月22日

がん患者の運動機能低下~フレイルについて~

2022年2月21日

ただ、やっぱり自分にすごく関係あることも知識として知っておきたいですよね。

がん患者さんの症状で最も困るものの一つが疼痛、つまり痛みです。

そこで今回は、がんサバイバーも知っておきたい疼痛、痛みについて紹介します。

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がんサバイバーの悩み

2013 がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告書(静岡がんセンター)

こちらは2013年に静岡がんセンターが調査したがんサバイバーの悩みや負担に関するランキングです。

2003年と2013年に調査を行い、両者を表に示しています。

2003年には3位と9位に痛みに関連する項目がランクインしています。

そして、2013年にも同じように3位と9位に、しびれも含めた痛みに関連する項目がランクインしています。

少し古いデータですが、年月が経っても、がんサバイバーは痛みで悩まれているということです。

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痛みの分類

水口公信. 痛みのアセスメントと診断.2005

がん患者さんの痛みといったら,がんによる痛みが真っ先に思い浮かびますが、それだけではありません。

①がんによる痛み(がんの浸潤や転移に伴う痛み),②がんに関連した痛み,③がん治療による痛み(手術療法,化学療法,放射線治療など抗がん治療に関連する痛み),④がんやがん治療と直
接関連のない痛み(基礎疾患や廃用・老化に関連するもの,慢性痛など)などがあります。

つまり、がんと関係ない痛みの場合もあるので、それががんやその治療が原因なのか、がんやその治療が関係ないのかを把握する必要があるわけです。

以前解説したがんロコモなんかは、がんやがん治療と直接関連のない痛みの代表例ですね。

がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版. 金原出版

また、病態から考えると、がん患者さんの痛みは①侵害受容性疼痛(体性痛,内臓痛)②神経障害性疼痛③非器質性疼痛に分類されます。

 

体性痛というのは、いわゆる傷のような痛みであり、一般的にずきずきするような痛みになります。

がん患者さんで言えば、骨転移の痛みなどがあたります。

 

内臓痛というのは、がん患者さんで言う、がんの浸潤による痛みがそれにあたります。

感覚としては、鈍いズーンとした痛みで、痛い場所がはっきりしないことが多いです。

 

神経障害性疼痛というのは骨転移が神経に浸潤したり、化学療法の副作用などで生じます。

感覚的にはじんじん、びりびりするようなしびれを伴うことも多い痛みになります。

 

痛みの種類によって治療内容も変わってきますので、自分の痛みが何が原因かを考えるようにしましょう。

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痛みの評価

痛みをコントロールするためには、自分が感じている痛みがどのような状態かを評価する必要があります。

適切に評価して把握できれば、痛みの分類もできるようになってきて、治療に役立ちますよ。

痛みの評価の方法について解説していきます。

 

痛みの部位

痛みの原因を把握するために痛みの部位の評価は必要です。

場所がはっきりしている痛みは体性痛,不明瞭な痛みでは内臓痛,痛みの原因となりそうな病巣から離れている一の痛みであれば神経障害性疼痛、というように考えていきます。
以前からの痛みであれば、整形外科疾患のようながん以外の痛みの可能性も考えましょう.

 

痛みの強さ

がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版. 金原出版

痛みの強さって表現するのが難しいですよね。

よくある評価としては、10点中何点かを数値や戦場で示す評価があります。

それ以外にもFaces Pain Scaleという顔の表情で痛みの程度を伝える方法もあります。

表情で選ぶのはわかりやすいので、高齢の方などはいいかもですね。

痛みの性状

どのような痛みかを説明することも痛みの原因の把握につながります。

体性痛では「ズキズキする」「鋭い」など,内臓痛では「鈍い」「重い」「押されるような」など,神経障害性疼痛では「ビリビリ」「ジンジン」「電気の走るような」などと表現されることが多いです.

 

痛みのパターン

痛みは1日のうち12時間以上持続する持続痛と,短時間で悪化し自然消失する一過性の痛みの
増強である突出痛に分けられます.

痛みのパターンによって,鎮痛薬の使用方法が変わってきますので、ずっと持続しているのか、短時間だけの痛みを繰り返しているのかを確認しておきましょう。.


痛みによる日常生活への影響

同じ痛みでも、どの程度生活に影響するかは人それぞれですよね。

痛くても、我慢強い人なら気にせず動くでしょうし、痛みに敏感であれば寝たきりになってしまうかもしれません。

痛みで自分がどれだけ困っているか、できないことが増えているかを確認して、鎮痛薬を調整するようにしましょう。

基本的な考え方としては、睡眠に支障が出る痛みは緊急に対処しましょう。

次いで、じっとしてても痛みがあるようなら、それも改善させた方がいいです。

動いた時に出る痛みであれば、鎮痛薬も使用しつつ、動き方を工夫したりするのも考える必要がありますね。

 

まずは、痛みの分類や評価方法について解説しました。

これらの結果をもとに治療方法を検討していくわけです。

自分自身でも痛みをコントロールするために、痛みを評価し、痛みの原因を考えるようにしていきましょう。

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まとめ
・がんサバイバーも知っておきたい疼痛、痛みについて紹介。

・痛みはがんサバイバーの悩みの上位にランクインしている。

・痛みに適切に対処するために、痛みの原因を分類する必要がある。

・痛みの原因を把握するためにも、痛みの部位、強さ、性状、パターンなどを評価する必要がある。

・自分で痛みをコントロールするためにも、痛みを評価し把握するようにしましょう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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