今回は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)より、がんの精神症状に対する鍼灸治療の効果について記載している内容を紹介します。
前回は、がんの身体症状に対して鍼灸治療の効果について記載している内容を紹介しました。
がん患者さんに関わらず、痛みのある方が比較的行う治療方法ですので、痛みで困っている場合には、一つの治療方法の選択肢として考えてもいいかもしれないという結果でしたね。
一方で、がん患者さんは身体症状だけでなく、不安・抑うつといった精神症状も出現しやすく、問題となってきます。。
身体症状だけでなく、精神症状やQOLに対しては鍼灸治療の効果はどうなのでしょうか?
そこで今回は、がんの精神症状・QOLに対する鍼灸治療の効果について記載している内容を紹介します。
記載内容は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版、から引用させていただいております。
・鍼灸治療はがん患者の不安・抑うつに対する効果は不明ですが、がん患者のQOL改善には効果が期待できるようである。
・不安・抑うつへの効果は不明となっているが、emotional functionの改善も認められているので、精神面の改善も多少はあるのかもしれない。
不安・抑うつに対する効果
システマティックレビューでは、がん患者の不安・抑うつに対する鍼治療の効果に関する6件の無作為化比較試験の文献的考察が行われています。
すべての試 験は不安・抑うつを主要評価項目として実施した試験ではないため鍼治療によるがん患者の不安・抑うつに対する効果は不明であると結論づけています。
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①システマティックレビューでは、がん患者の倦怠感に対する鍼灸治療の効果に関する7件の無作為化比較試験の文献的考察を行ってた結果、灸治療を通常のケアに加えることは通常のケアのみに比較して、EORTC‒QLQ‒C30におけるemotional function、global health statusの改善が認められています。
よって、がん患者に対して通常のケアに加えて灸治療を併用することで、QOLが改善する可能性があると述べています。
②システマティックレビューでは、鍼治療および電気鍼治療によるがん患者のQOL改善を評価した2件の無作為化比較試験の文献的考察を行った結果、鍼治療および電気鍼治療は対照群と比較して、がん患者のQOL向上に有効であると結論づけています。
③システマティックレビューでは、肺がん患者への経穴刺激によるQOLの改善に関する2件の無作為化比較試験のメタアナリシスを行った結果、経穴刺激は対照群と比較してEORTC‒QLQ‒C30におけるtotal scoreの改善が認められています。
以上より、鍼灸治療は、がん患者のQOLを改善させると考えられる。
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以上より,鍼灸治療はがん患者の不安・抑うつに対する効果は不明ですが、がん患者のQOL改善には効果が期待できるようです。
身体症状を改善させることも期待できるので、それに伴ってQOLが改善しそうな印象ですね。
不安・抑うつへの効果は不明となっていますが、emotional functionの改善も認められているので、精神面の改善も多少はあるのかもしれないですね。
職場定着率91%!うつ症状専門の就労移行支援【atGPジョブトレ うつ症状コース】・鍼灸治療はがん患者の不安・抑うつに対する効果は不明ですが、がん患者のQOL改善には効果が期待できるようである。
・不安・抑うつへの効果は不明となっているが、emotional functionの改善も認められているので、精神面の改善も多少はあるのかもしれない。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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