痛みによるADL制限があると運動療法の効果が減少する  

今回は、地域在住高齢者に対して行う運動療法が、痛みによるADL制限を有しているとその効果が減少してしまうという内容の論文を紹介します。

 

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痛みが強くて積極的に運動ができないということも少なくないのではないでしょうか。

 

さらには、痛みがあることが、頑張って行っている運動の効果にも影響を及ぼすことが予想されます。

そこで、今回は、地域在住高齢者に対して行う運動療法が、痛みによるADL制限を有しているとその効果が減少してしまうという内容の論文を紹介します。

まとめ
・地域在住高齢者に対して行う運動療法が、痛みによるADL制限を有しているとその効果が減少してしまうという内容の論文を紹介。

・地域在住高齢者の介護予防事業として、ストレッチ運動6種目,筋力トレーニング7種目,バランストレーニング8種目の21種目から構成した60分間の運動プログラムを週1回12週間実施した。

・痛みと運動機能は全ての項目が有意に改善しており、活動量に関しては中~高強度の活動時間が改善した。

・PDAS10点未満であれば痛み、片足立ち、椅子起立、TUG、活動量が改善したが、PDAS10点以上の方々はTUGのみの改善となっており、それ以外の項目は改善がなかった。

・痛みで日常生活に支障がある方はもともと活動量が低いので、運動を行いながらも、活動量をアップさせる工夫が必要なようである。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、地域在住高齢者に対して行う運動療法が、痛みによるADL制限を有しているとその効果が減少してしまうという内容になっています。

「平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.」 2015年に発行された論文になります。

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対象

対象は,長崎県U市の介護予防事業に新規に参加した65歳以上の地域在住高齢者51名(平均年齢75.8±5.1歳,男性10名,女性41名)とした。問診調査により認知機能障害の疑いのため調査者とのコミュニケーションが困難であった対象者は除外した。

平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.

対象は、介護予防事業の運動教室に参加している高齢者の方々ですね。

介護予防事業に参加できているので、日常生活動作は概ね自立できている患者さんをイメージしてもらえればいいと思います。

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方法

平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.

こちらの表は運動介入プログラムの詳細を示しています。

介入期間は12週間,頻度は週1回です。

運動介入は,表のようなストレッチ運動6種目,筋力トレーニング7種目,バランストレーニング8種目の21種目から構成した60分間の運動プログラムのDVDを作成し,理学療法士の監視下でこれを視聴しながら実施しています。

1種目の運動の回数は5-10回程度ですのでそんなに多くはないですが、21種目もの種類を60分間実施するとなると、なかなかの運動量ですね。

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結果

平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.

こちらの表は、全対象者の介入前後の評価結果の変化になります。

痛みの評価として、痛みの発生部位や痛みの強度(最大NRS)、運動機能として片足立ち保持時間、椅子起立時間、TUG、そして身体活動量として歩数や低強度~高強度の活動時間を測定しています。

痛みと運動機能は全ての項目が有意に改善しており、活動量に関しては中~高強度の活動時間が改善していました。

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平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.

さらにこの研究では、PDASという痛みによる日常生活の支障の点数に着目して、ベースラインの身体機能や運動の効果に影響を及ぼしているかを検討しています。

PDASの点数が高いほど、痛みのために日常生活に支障を感じているということです。

カットオフ値が10点となっており、10点以上の方々を痛みのために日常生活に支障を感じていると定義しています。

 

こちらの表が、PDASの点数で群分けしたベースラインの結果になります。

PDASの点数が高いと、痛みの部位が多くなりや痛みの強度が強くなっています。さらに、運動機能のTUGの低下、中等度身体活動時間の低下が認められています。

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平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.

こちらの表が、PDASの点数で群分けした介入の効果の結果になります。

PDAS10点未満であれば痛み、片足立ち、椅子起立、TUG、活動量が改善しています。

一方で、PDAS10点以上の方々はTUGのみの改善となっており、それ以外の項目は改善がありませんでした。

結論

本研究より,介護予防事業で行われる運動機能の改善を目的とした運動プログラムでも痛みの軽減や身体活動量の改善が得られることが明らかとなった。しかし,痛みによるADL制限の違いにより運動介入の効果は異なり,痛みによるADL制限に応じた介入方法を確立する必要性が示唆された。

平瀬達哉, 片岡英樹, 井口茂, 他. 地域在住高齢者における痛みによる日常生活活動制限の違いが運動介入効果におよぼす影響 – 痛み, 運動機能, 身体活動量を指標として – . PAIN REHABILITATION 5(1): 43-48, 2015.

高齢者に対する週1回60分の運動でしっかり効果が出てますね。

一方で、痛みで日常生活に支障がある方は運動の効果が乏しいようです。

運動機能や身体活動量がアップしないため、疼痛も軽減しないということのようですね。

痛みで日常生活に支障がある方はもともと活動量が低いので、運動を行いながらも、活動量をアップさせる工夫が必要なようです。

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まとめ
・地域在住高齢者に対して行う運動療法が、痛みによるADL制限を有しているとその効果が減少してしまうという内容の論文を紹介。

・地域在住高齢者の介護予防事業として、ストレッチ運動6種目,筋力トレーニング7種目,バランストレーニング8種目の21種目から構成した60分間の運動プログラムを週1回12週間実施した。

・痛みと運動機能は全ての項目が有意に改善しており、活動量に関しては中~高強度の活動時間が改善した。

・PDAS10点未満であれば痛み、片足立ち、椅子起立、TUG、活動量が改善したが、PDAS10点以上の方々はTUGのみの改善となっており、それ以外の項目は改善がなかった。

・痛みで日常生活に支障がある方はもともと活動量が低いので、運動を行いながらも、活動量をアップさせる工夫が必要なようである。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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