がん患者さんが経験しやすい症状の一つとして痛みが挙げられます。
がんの痛みの治療については以前紹介しました。
今日は、乳房手術後の慢性痛(CPBS)についてお話しします。このテーマは、手術後の健康状態に大きな影響を与えるため、とても重要です。
乳房手術後の慢性痛は、術後の健康状態に大きな影響を与えることが知られています。
しかし、明確な定義がないため、文献にはCPBSの実際の発生率やリスク要因について一貫性がありません。
乳房手術後の慢性痛が多くの患者にとって重大な問題であり、その理解と予防が重要です。
そこで、今回はCPBSの発生率とリスク要因、CPBSが患者の機能や生活の質に与える影響について解説します!!
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、この論文は、乳房手術後の慢性痛(CPBS)の発生率とリスク要因を調査するために行われた観察研究です。
「Villa G, Mandarano R, Scirè-Calabrisotto C, Rizzelli V, Del Duca M, Montin DP, Paparella L, De Gaudio AR, Romagnoli S. Chronic pain after breast surgery: incidence, associated factors, and impact on quality of life, an observational prospective study. Perioper Med (Lond). 2021 Feb 24;10(1):6. 」。
2021年の論文になります。
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対象と方法
対象者について
この研究では、2018年1月から4月の間にイタリアの大きな病院で乳がん手術を受けた18歳以上の女性が対象です。
手術前から手術後3ヶ月までの間、痛みの状態を詳しく観察しました。
方法について
まず、手術前に患者さんの基本情報や既存の痛みの有無を記録しました。
手術中の情報も詳細に記録し、手術後は0時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、そして3ヶ月後に痛みの強さを評価しました。
痛みの評価には、0から10の数値で痛みの強さを示す「数値評価スケール(NRS)」を使用しました。
統計の方法について
手術後3ヶ月の時点での痛みの有無を予測するために、ロジスティック回帰分析という方法を使いました。
この方法では、痛みがあるかどうかを0か1で表し、どの要因が痛みに影響を与えるかを調べました。
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結果
慢性疼痛の発生率:
307人の患者さんのうち、28%が手術後3ヶ月で慢性疼痛を経験しました。
これは、約3人に1人が手術後に長期間の痛みを感じることを意味します。
リスク要因: 慢性疼痛のリスクを高める要因として、以下の3つが特定されました。
- 腋窩手術: 腋窩手術を受けた患者さんは、慢性疼痛を経験するリスクが高いことがわかりました。
- 術前の鎮痛薬使用: 手術前に鎮痛薬を使用していた患者さんも、慢性疼痛のリスクが高いことが示されました。
- 術後6時間の動的NRS値: 手術後6時間の時点での動的NRS(Numerical Rating Scale)値が高い患者さんも、慢性疼痛のリスクが高いことがわかりました。
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まとめ
この研究から、乳房手術後の慢性疼痛は一般的な問題であり、特定のリスク要因が存在することが明らかになりました。
特に、腋窩手術を受けた患者さんや、術前に鎮痛薬を使用していた患者さんは、慢性疼痛のリスクが高いことがわかりました。
また、手術後6時間の時点での痛みの強さも、慢性疼痛の予測因子となることが示されました。
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感想
一般的に創部の治癒は3ヶ月以内に完了し、疼痛は消失することから、3ヶ月以上の疼痛は慢性痛の目安として使用されることが多い。
乳がん術後の患者の約3人に1人に3ヶ月以上の疼痛が持続していることは大きな問題ですね。
慢性的な疼痛は、鎮痛薬の効果が乏しいことが多いため、運動や教育の必要性が高いことが考えられる内容だと思います!!
慢性痛のメカニズムに関してはコチラにを参考にしてみてください。
・乳房手術後の慢性痛の発生率は28%で、腋窩手術、術前の鎮痛薬使用、術後6時間の動的NRS値が高いことが独立したリスク要因として特定されました。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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