【注意】乳がん患者のリンパ浮腫への危機管理は薄れやすい!!

今回は、乳がん患者さんを対象にリンパ浮腫に対するリスク管理行動が時間経過とともに変化するかを調査した論文を紹介します。

このブログではリンパ浮腫の危険因子について紹介してきました。

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リンパ浮腫の危険因子になることは極力避けないとですね。

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しかし、私の患者さんもそうですが、手術直後はリンパ浮腫予防をすごく意識していても、時間の経過とともに知識も意識も薄れていっているような印象です。

そこで今回は、乳がん患者さんを対象にリンパ浮腫に対するリスク管理行動が時間経過とともに変化するかを調査した論文を紹介します。

まとめ
・乳がん患者さんを対象にリンパ浮腫に対するリスク管理行動が時間経過とともに変化するかを調査した論文を紹介。

・ 時間経過とともに手足の圧迫や損傷などの注意しなければならないことに関するリスク管理の意識は薄れていき、アドバイスを求めたり注意事項を守る態度が減少していた。

・つまり、地方に住んで、教育レベルが低く、がんの進行度が低いほど、リンパ浮腫に対する注意をしなくなっていた。

・中国の研究なので、どこまで日本人に当てはまるかは不明であるが、時間の経過とともにリンパ浮腫への注意が減少しないように注意しましょう。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、乳がん患者さんを対象にリンパ浮腫に対するリスク管理行動が時間経過とともに変化するかを調査した内容になっています。

「Zhang Y, Li N, Chen J, et al. Breast Cancer-Related Lymphedema Risk-Management Behaviors Among Chinese Breast Cancer Survivors and Relationships with Socio-Demographic and Clinical Characteristics: A Longitudinal Study. Patient Prefer Adherence. 2022 Mar 25;16:797-808.」、2022年に発行された最新の論文です。

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対象

The patient cohort was recruited between August 2019 and January 2021. The study inclusion criteria were as follows: (1) female sex; (2) aged ≥ 18 years old; (3) first diagnosis of breast cancer; (4) underwent modified radical mastectomy; and (5) had the ability to communicate verbally with the research assistants and to complete the written informed consent form. Patients were excluded if they had a history of other malignant tumors, mental illness, or cognitive impairment.

Zhang Y, Li N, Chen J, et al. Breast Cancer-Related Lymphedema Risk-Management Behaviors Among Chinese Breast Cancer Survivors and Relationships with Socio-Demographic and Clinical Characteristics: A Longitudinal Study. Patient Prefer Adherence. 2022 Mar 25;16:797-808

対象は、2019年8月から2021年1月の間に募集されました。

対象基準は(1)女性、(2)18歳以上、(3)乳がんの初診、(4)根治的乳房切除術を受けた患者、(5)リサーチアシスタントと口頭でコミュニケーションでき、書面によるインフォームドコンセントに記入できる能力を持つことでした。

他の悪性腫瘍の既往、精神疾患、認知機能障害がある患者は除外しています。

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方法

After discharge, all participants were also invited to complete follow-up questionnaires in the first (T1), third (T2), and sixth (T3) months post-surgery. The Lymphedema Risk-Management Behavior Questionnaire (LRMBQ)13 was revised from the Lymphedema Risk-Reduction Behavior Checklist developed by Wang23 to assess BCRL risk-management behaviors based on internationally accepted guidelines.14–16 The LRMBQ consists of 18 items divided into four dimensions, as follows: “Skin care” (5 items), “Avoidance of compression and injury” (4 items), “Lifestyle” (5 items), and “Other matters requiring attention” (4 items). Each item is rated on a five-point Likert scale ranging from 1 (never) to 5 (always) points. LRMBQ has good content validity (scale content validity index=0.86) and the Cronbach’s α of the total scale and each subscale range from 0.65–0.79, respectively.

Zhang Y, Li N, Chen J, et al. Breast Cancer-Related Lymphedema Risk-Management Behaviors Among Chinese Breast Cancer Survivors and Relationships with Socio-Demographic and Clinical Characteristics: A Longitudinal Study. Patient Prefer Adherence. 2022 Mar 25;16:797-808

退院後、すべての参加者に、術後1ヶ月目(T1)、3ヶ月目(T2)、6ヶ月目(T3)の追跡調査票の記入も依頼しました。

リンパ浮腫リスク管理行動質問票(LRMBQ)を用いて評価しています。

LRMBQは乳がん術後リンパ浮腫リスク管理行動を評価する質問しであり、以下の4次元に分かれた18項目からなります。

「スキンケア」(5 項目)、「圧迫・損傷の回避」(4 項目)、「生活習慣」(5 項目)、「その他注意すべき事項」(4 項目)で、各項目は、1(全くない)ポイントから5(常にある)ポイントまでの5段階で評価されます。

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結果

Zhang Y, Li N, Chen J, et al. Breast Cancer-Related Lymphedema Risk-Management Behaviors Among Chinese Breast Cancer Survivors and Relationships with Socio-Demographic and Clinical Characteristics: A Longitudinal Study. Patient Prefer Adherence. 2022 Mar 25;16:797-808

Zhang Y, Li N, Chen J, et al. Breast Cancer-Related Lymphedema Risk-Management Behaviors Among Chinese Breast Cancer Survivors and Relationships with Socio-Demographic and Clinical Characteristics: A Longitudinal Study. Patient Prefer Adherence. 2022 Mar 25;16:797-808

こちらはLRMBQの時間経過による変化を示しています。

統計解析の結果、「LRMBQの合計」スコアは経時的に変化しないことが示されました(F=1.75、p=0.176、表2)。

4つの下位尺度のうち、「手足の圧迫と損傷の回避」(F=10.46、p<0.001)と「注意を要するその他の事項」(F=9.17、p<0.001)の両方に有意な時間効果があり、この2つの下位尺度に3つの研究期間で有意な平均差が存在することが示されました。

さらに、3つの下位尺度のうち、「積極的にアドバイスを求めようとする態度」(F=3.96、p<0.020)と「注意事項を守ろうとする態度」(F=25.02、p<0.001)の両方に有意な時間効果が見られ、これら二つの下位尺度に3つの研究期間の間で有意な平均差が存在していることが示された。

 

つまり、時間経過とともに手足の圧迫や損傷などの注意しなければならないことに関するリスク管理の意識は薄れていき、アドバイスを求めたり注意事項を守る態度が減少していくという結果です。

 

LRMBQの結果と相関する3つの有意な予測因子は地理的居住地、教育レベル、腫瘍ステージでした。

つまり、地方に住んで、教育レベルが低く、がんの進行度が低いほど、リンパ浮腫に対する注意をしなくなってしまうということです。

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結論

The present study highlighted changes in BCRL risk-management behaviors among BCS from the first to the sixth month after breast cancer surgery. BCRL risk-management behaviors were assessed by LRMBQ and FEAS questionnaires. LRMBQ, scores for the “Avoidance of limb compression and injury” and “Other matters requiring attention” subscales changed over the three study time periods. For the FEAS, the scores of the “Total FEAS”, “Adherence to actively seeking advice” and “Adherence to the following precautions” subscales changed over the three study time periods. In addition, geographic residence, education level, and tumor stage were found to be associated with BCRL risk-management behaviors. Health care providers should understand the dynamic nature of BCRL risk-management behaviors and should consider the patient characteristics highlighted in this study with the goal of helping patients to improve their BCRL risk-management behaviors. Future research is expected to provide further replication in a longer follow-up study with a more diverse sample.

Zhang Y, Li N, Chen J, et al. Breast Cancer-Related Lymphedema Risk-Management Behaviors Among Chinese Breast Cancer Survivors and Relationships with Socio-Demographic and Clinical Characteristics: A Longitudinal Study. Patient Prefer Adherence. 2022 Mar 25;16:797-808

本研究では、乳がん術後1カ月目から6カ月目までのBCSのBCRLリスク管理行動の変化を明らかにしました。

LRMBQでは、「四肢の圧迫と損傷の回避」と「注意を要するその他の事項」の下位尺度のスコアが、3つの研究期間にわたって変化しました。

FEASでは、「積極的に助言を求めることの順守」、「以下の注意事項の順守」の下位尺度のスコアが3つの研究期間にわたって変化しました。

さらに、地理的な居住地、教育レベル、腫瘍のステージがBCRLのリスク管理行動と関連することが明らかになりました。

医療従事者は、BCRLリスク管理行動の変化を理解し、患者がBCRLリスク管理行動を改善できるよう支援する目的で、本研究で強調された患者の特性を考慮すべきです。

 

つまり、地方に住んでいたり、教育レベルが低かったり、腫瘍のステージが低い場合には、リンパ浮腫に対して油断しないように注意しましょうということですね。

中国の研究なので教育水準や地方というのは、日本にはあまり当てはまらないかもですね。

いずれにしろ、時間の経過とともに油断しないように注意は必要ですね。

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まとめ
・乳がん患者さんを対象にリンパ浮腫に対するリスク管理行動が時間経過とともに変化するかを調査した論文を紹介。

・ 時間経過とともに手足の圧迫や損傷などの注意しなければならないことに関するリスク管理の意識は薄れていき、アドバイスを求めたり注意事項を守る態度が減少していた。

・つまり、地方に住んで、教育レベルが低く、がんの進行度が低いほど、リンパ浮腫に対する注意をしなくなっていた。

・中国の研究なので、どこまで日本人に当てはまるかは不明であるが、時間の経過とともにリンパ浮腫への注意が減少しないように注意しましょう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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