前回は、ウォーキングが上肢のリンパ浮腫改善に効果があるかもしれないといった論文を紹介しました。
下肢の運動のようなウォーキングでも上肢のリンパ浮腫を改善させるかもしれないのは驚きですね。
ただし、運動がリンパ浮腫を改善させる機序としては、一番は筋ポンプ作用が考えられます。
それを考えると、上肢のリンパ浮腫に対しては、上肢の筋トレを行うのが理にかなっているような気がします。
しかし、一般的には筋トレのような運動は、むしろ控えるように指導されることも多いようです。
そこで今回は、乳がんリンパ浮腫患者に対してウェイトリフティングを行うことの安全性と効果について調査した論文を紹介します。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、乳がんリンパ浮腫患者に対してウェイトリフティングを行うことの安全性と効果について調査したという内容になっています。
「Schmitz KH, Ahmed RL, Troxel A, et al. Weight lifting in women with breast-cancer-related lymphedema. N Engl J Med. 2009 Aug 13;361(7):664-73.」
2009年に発行された論文です。
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対象
2005年10月から2007年3月まで、乳がんと現在のリンパ浮腫の病歴を持つ合計141人の女性が採用されました。
リンパ浮腫の定義は上肢の体積が反対側と比べて10%以上大きいとしています。
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介入内容
参加者をウェイトリフティング群とコントロール群の2群に分けています。
ウェイトリフティング群は、最初の13週間は指導者の監視のもと、週に2回、90分間のセッショングループレッスンを行っています。
これには、ストレッチ、有酸素運動、腹部と背中のエクササイズ、ウェイトリフティングのエクササイズが含まれます。上半身のエクササイズには、着席列、チェストプレス、横または前の挙上、上腕二頭筋のカール、および上腕三頭筋のプッシュダウンが含まれていました。
下半身のエクササイズには、レッグプレス、背中の伸展、脚の伸展、レッグカールが含まれていました。
13週間は、指導者が様子を見ながらセット数や運動負荷を徐々にアップしています。
最初の13週間後、参加者はさらに39週間、週2回の運動を、指導者の監視なしで行っています。
もちろん、運動はスリーブを装着して行っています。
好きなことをしながら運動ができる「乗るだけ簡単エクササイズ」です♪
結果
Smoot B, Zerzan S, Krasnoff J, et al. Upper extremity bioimpedance before and after treadmill testing in women post breast cancer treatment. Breast Cancer Res Treat. 2014 Nov;148(2):445-53.600
12か月の時点で、ウェイトリフティングの参加者は、ベンチプレスとレッグプレスで測定した場合、コントロール群よりも体力が向上していました。
12か月間の食事、身体活動、および体組成の変化は、2つのグループ間で有意差はありませんでした。
Smoot B, Zerzan S, Krasnoff J, et al. Upper extremity bioimpedance before and after treadmill testing in women post breast cancer treatment. Breast Cancer Res Treat. 2014 Nov;148(2):445-53.600
12か月後のリンパ浮腫増悪はウェイトリフティング群11% vs コントロール群12%と2群に差はありませんでした。
他覚的な増悪所見はウェイトリフティング群14% vs コントロール群29%と,ウェイトリフティングの効果を認めております。
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結論
ウェイトリフティングが乳がん生存者のリンパ浮腫の腫れを悪化させるという懸念を減少させます。
まずは、監視下で適切な運動負荷の調整を行えば、そのあとは自主練習でも問題ないようですね。
残念ながら浮腫の改善という結果まではないですが、浮腫を増悪させずに、自覚症状の改善が期待できるようです。
筋トレは控えていた皆様も、軽めの筋トレから徐々に開始するくらいはいいかもですね。
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・1年間のトレーニングで、ウェイトリフティング群とコントロール群では、浮腫の悪化に差はなかった。。
・自覚症状においては、ウェイトリフティング群が有意に改善していた。
・まずは、監視下で適切な運動負荷の調整を行えば、そのあとは自主練習でも安全かつ効果的のようである。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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