運動を行うことで婦人科がん患者の職場復帰率がアップする

今回は、婦人科がん患者さんの職場復帰を阻害する要因や職場復帰に対するリハビリテーションの効果について検討した論文を紹介します。

 

最近では比較的若年者のがん患者さんが増えたことや、寿命が長くなり高齢でも仕事をされている方も多いことから、がん治療中や後でも職場復帰される方が多くなっています。

厚労省もガイドラインやパンフレット等を作成し、就労支援に力を入れています。

 

復職に関しては、治療に伴う倦怠感や体力低下のため、なかなか順調にいかないことも多いようですね。

実際に復職できている人ってどの程度いるか疑問なところですね。

 

さらには、復職を阻害する原因である体力低下に関しては、運動やリハビリを行うことで改善が期待できそうです。

 

そこで今回は、婦人科がん患者さんの職場復帰を阻害する要因や職場復帰に対するリハビリテーションの効果について検討した論文を紹介します。

まとめ
・婦人科がん患者さんの職場復帰を阻害する要因や職場復帰に対するリハビリテーションの効果について検討した論文を紹介。

・追跡期間中、101人(52.9%)が中央値3.2カ月(範囲:0~33.1カ月)の後に仕事に復帰し、91人(47.6%)は復帰していなかった。

・職場復帰の阻害因子として、痛みや倦怠感、うつが挙げられた。

・入院中にリハビリテーションを実施したほうが職場復帰率が有意に高かった。

・治療後の目標は、単純に体力や筋力をつけるだけでなく、職場復帰して以前のような生活が送れるようになるということになってくるでしょうから、やはり入院中からリハビリは行った方がよさそう。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、婦人科がん患者さんの職場復帰を阻害する要因や職場復帰に対するリハビリテーションの効果について検討した内容になっています。

「Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.」、2022年に発行された最新の論文です。

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対象

We retrospectively assessed women who were treated with curative RT or chemoradiation at a single institution between January 2017 and December 2021. Only women diagnosed with primary pelvic gynecologic malignancies, including cervical, uterine, vulvar, and vaginal cancer were included. Palliative intent treatment and patients diagnosed with metastatic disease were excluded.

Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.

2017年1月から2021年12月までに1つの施設で治癒的RTまたは化学放射線療法を受けた女性を後方視的に評価しています。

子宮頸がん、子宮体がん、外陰がん、腟がんを含む骨盤内婦人科原発悪性腫瘍と診断された女性のみを対象としています。

緩和目的治療と転移性疾患と診断された患者は除外されています。

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方法

For baseline measures, current working status, practiced profession and salaried- or self-employment characteristics at the time of first diagnosis were routinely reviewed at the first outpatient appointment at our radio-oncologic department or retrospectively assessed during in-house social service consultations or during follow-up appointments. Return to work status was evaluated during treatment and follow-up by reviewing in-house or referring physician’s notes, inpatient cancer rehabilitation discharge letters and social workers’ databases and documented as successful at the time point of the first vocational reintegration.

The Charlson Comorbidity Index (CCI) was calculated for each patient for baseline measures as defined prior to RT [15]. With respect to CCI, an adjusted scoring for the category of “solid tumor” was utilized; points were counted only if a second malignancy, other than the treated one, was present.

Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.

患者の特徴、併存疾患、人口統計学、社会経済的因子とライフスタイルの要因について、詳細に検討しています。喫煙状況、教育レベル、世帯の詳細、配偶者の有無、子供の数については、日常臨床または社内のソーシャルサービスでの診察で評価しています。

ベースライン指標として、初診時の現在の就労状況、従事している職業、給与所得者または自営業者の特徴を、当院放射線腫瘍科での最初の外来受診時に定期的に確認するか、社内の社会福祉協議会またはフォローアップ受診時に後方視的に評価しました。復職状況は、治療中およびフォローアップ中に、院内あるいは紹介元の医師のメモ、入院患者のがんリハビリテーション退院通知、ソーシャルワーカーのデータベースを確認することで評価し、最初の職業復帰の時点で成功したと文書化されました。

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結果

Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.

こちらの表は、対象者の特徴を示しています。

2017年1月から2021年12月の間に、治癒的な放射線(化学)療法を受けた年齢中央値61歳の女性424人でした。

追跡期間中央値は11.6(範囲:0.2-65.6)カ月でした。

組織型は子宮内膜がんが最も多く(n=205、48.3%)、次いで子宮頸がん(n=166、39.2%)、腟または外陰がん(n=53、12.5%)でした。

治療は、195名(46.0%)の女性が放射線のみ、181名(42.7%)と48名(11.3%)の女性が同時または連続の放射線化学療法として実施されています。

合計269人(63.4%)の女性が先行手術を受けました。

放射線治療は中央値28(範囲:1-38)分割で行われ、線量中央値45(6-60)Gy、ブースト線量中央値20(9-63)Gyでした。

81.7%の患者は結婚しているかパートナーがおり、7.1%の女性は一人暮らしで、86.5%に子供がおり、子供の数の中央値は1人(範囲:0~6人)でした。

大半の患者さんが結婚や出産を経験している方というわけですね。

 

また、RT終了後40日の中央値で、122人(28.8%)の患者が中央値3週間の専門的な入院がんリハビリを受けました。

60歳未満(p=0.031)、教育レベルが高い(サブグループn=245、p=0.022)、RT中に急性泌尿器毒性があった(p=0.031)、分割数が多くRT治療時間が長い(p=0.032)、社会内カウンセリングが行われた後(p<0.0001)、の患者さんがリハビリテーションを受けるのが著しく多くなっていました。

 

ベースライン時、合計191名(45.0%)の女性がフルタイムまたはパートタイムで働き、188名(44.3%)がすでに退職し、45名(10.6%)が労働年齢で、そのうち38名(9.0%)が主婦、7名(1.7%)が無職でした。

積極的に働いているグループ(n = 191)では、142人の働いている患者について、133名(93.7%)が給与所得者、9名(6.3%)が自営業者であった。

追跡期間中、101人(52.9%)が中央値3.2カ月(範囲:0~33.1カ月)の後に仕事に復帰し、91人(47.6%)は復帰していませんでした。

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Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.

こちらのグラフは、職場復帰率と腫瘍の進行度、治療中の倦怠感、うつ、BMIの関係性を示しています

職場復帰率率は、腫瘍の進行度が高い患者(p=0.003)において、有意に低い値でした。

さらに、治療中に疲労を経験した患者(p=0.048)(図1B)およびフォローアップ中(p=0.015)、治療中に急性疼痛がある患者(p=0.033)およびうつ状態の患者(p=0.010)(図1C)は、職場復帰率が低くなっていました。

自営業の女性(サブグループ n = 142, p = 0.029)および治療終了時のBMIが正常範囲内の患者(p = 0.014)では、職場復帰率が高くなっていました。

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Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.

表2は、就労患者全体(表2a)と155人の無増悪女性(表2b)の異なるタイムポイントでのRTW率を示してます。

大体、治療後半年で職場復帰率が上昇し、その後は緩やかに増えていくという形ですね。

さらに復職率は、追跡調査中に疲労症状の改善を経験した患者(p<0.001)、およびRT後に専門的な入院リハビリを受けた患者(p<0.001)でより高くなっていました。

世帯の詳細、子供の有無、婚姻状況、年齢は、再就職に有意な影響を与えなかった。復職率は、2017年から2021年までの観察期間を通じて、有意な変動はありませんでした。

結論

In the present study, we identified fatigue and pain as critical components contributing to return to work barriers following curative treatment for pelvic malignancies. Individualized inpatient cancer rehabilitation treatment resulted in high rates of returning to work after curative RT. Pivotal focus needs particularly to be placed on younger patients who showed higher appearance of acute fatigue and urinary toxicity during RT and, moreover, higher incidences of treatment-requiring depression during follow-up.

Meixner E, Sandrini E, Hoeltgen L, et al. Return to Work, Fatigue and Cancer Rehabilitation after Curative Radiotherapy and Radiochemotherapy for Pelvic Gynecologic Cancer. Cancers (Basel). 2022 May 8;14(9):2330. doi: 10.3390/cancers14092330.

本研究では、骨盤内悪性腫瘍の根治的治療後の職場復帰の障壁となる重要な要素として、倦怠感と疼痛を同定ました。

個別化された入院がんリハビリテーション治療により、根治的治療後の高い職場復帰率が得られました。

特に、治療中の急性疲労と尿毒症の出現率が高く、さらに、追跡調査中に治療を必要とするうつ病の発生率が高い若年患者に焦点を当てる必要があると考えられます。

 

入院中にリハビリテーションを行うと、復職率が高くなるという興味深い結果になっていますね。

復職率と倦怠感や痛み、うつが関連していますので、それらを改善するようなリハビリテーションは効果的ということでしょうね。

治療後の目標は、単純に体力や筋力をつけるだけでなく、職場復帰して以前のような生活が送れるようになるということになってくるでしょうから、やはり入院中からリハビリは行った方がよさそうですね!

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まとめ
・婦人科がん患者さんの職場復帰を阻害する要因や職場復帰に対するリハビリテーションの効果について検討した論文を紹介。

・追跡期間中、101人(52.9%)が中央値3.2カ月(範囲:0~33.1カ月)の後に仕事に復帰し、91人(47.6%)は復帰していなかった。

・職場復帰の阻害因子として、痛みや倦怠感、うつが挙げられた。

・入院中にリハビリテーションを実施したほうが職場復帰率が有意に高かった。

・治療後の目標は、単純に体力や筋力をつけるだけでなく、職場復帰して以前のような生活が送れるようになるということになってくるでしょうから、やはり入院中からリハビリは行った方がよさそう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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