がん患者の問題となる「痛み」の定義や特徴とは

今回の記事では、がん患者の問題となる「痛み」の定義や特徴、役割について解説します。

今までは高齢者やがん患者にとって重要な痛みについて紹介してきました。

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しかし、そもそもの痛みの定義ってあまり知らないんじゃないでしょうか?

さらに言えば、痛みって悪者扱いされていますが、身体にとってはどんな役割を担っているんでしょうか?

痛みで困っているからこそ、痛みについてしっかりと理解しておく必要がありそうですね。

そこで、今回は、がん患者の問題となる「痛み」の定義や特徴、役割について解説します。

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国際疼痛学会 (IASP)による新しい痛みの定義

国際疼痛学会 (IASP)では痛みは、「組織損傷が実際に起こった時,あるいは起 こりそうな時に付随する不快な感覚および情動 体験,あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」と定義されています。

一番のポイントは、実際に組織損傷が起こった時だけでなく、そのような損傷が起こっていなくても、それに似た不快な感覚や情動のみであっても疼痛と定義されていることです。

傷がなくても、本人が痛いと思えば「痛み」と言っていいということでしょうね。

最近、定義が変更されていますが、あまり大きな違いはありません。

英語表記で言うと,今回のassociatedという表記は、前回バージョン では described でした。

この変更は、痛みを言葉で表現できない人や動物にも痛みは存在するためとのことです。

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痛みの特徴

① 痛みとは不快な感覚および情動体験であ る。

② 痛みが継続する場合,痛みの体験は脳の感覚系から情動系へ移行する。

③ 痛みには不安が伴う。

④ 痛みはストレスを引き起こし,ストレス は痛みを増強する。

⑤ 気分は痛みに影響し,痛みは気分に影響 する。

⑥ 一般的に不安が痛みに先行し,抑うつは 痛みの結果である。

 

結局、「痛み」は情動と強く関係していて、不安やストレス、気分といった情動に悪影響をおよぼすことで、続いて「痛み」が増強するという悪循環に陥るようです。

不安→痛み→抑うつの順番に症状が出現するようですが、抑うつになると痛みを感じやすくなるし、不安も強くなるという悪循環が生じるんでしょうね。

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痛みの役割

人類の進化の中で、痛みは危険信号として重要な役割を果たしてきたと考えられています。

そして不安は,我々が結果的に有害だった行動を記憶して,それを回避することに寄与しているため、痛みと不安が切り離せないということです。

痛みを経験しているからこそ、それに対して不安を感じてしまうということでしょう。

そして、防御機構としての役割が破綻してしまった痛みが慢性痛ということになるんでしょうね。

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一方で,慢性疼痛は脳内ネットワークの問題であると見なすことができ,痛みが継続する場合には脳の感覚ネットワークから情動ネットワークへ移動していき,より感情的な体験となるメカニズムがこれまでの研究からも明らかになっています。

先ほど説明した、痛みが感覚から情動へ移動するという内容ですね。

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このような痛みの定義や特徴といった基本的なことを理解して対応するのも必要ですね。

まとめ
・がん患者の問題となる「痛み」の定義や特徴、役割について解説。

・痛みは、「組織損傷が実際に起こった時,あるいは起 こりそうな時に付随する不快な感覚および情動 体験,あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」と定義されている。

・痛みは危険信号として重要な役割を果たしている。

・「痛み」は情動と強く関係していて、不安やストレス、気分といった情動に悪影響をおよぼす。

・痛みの定義や特徴といった基本的なことを理解して対応するのも必要である。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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