乳がん術前後の運動は運動機能改善に対して効果があることを以前紹介しました。
運動の目的の一つとして、筋肉量の増加というものも挙げられます。
乳がんの治療は、体の組成、特に筋肉と脂肪のバランスに影響を与えることがあります。
筋肉量の減少は、治療の副作用や合併症、さらには腫瘍の進行や死亡率にも関連するため、筋肉量を落とさないことが重要となります。
そこで、乳がん治療における筋肉量の重要性を理解し、早期に対策を講じることができるように、この重要なテーマについて深掘りしていきましょう。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、乳がん患者におけるサルコペニア(筋肉量の減少)の有病率と臨床的影響を評価するための系統的レビューとメタアナリシスです。
「Jang MK, Park S, Raszewski R, Park CG, Doorenbos AZ, Kim S. Prevalence and clinical implications of sarcopenia in breast cancer: a systematic review and meta-analysis. Support Care Cancer. 2024 May 3;32(5):328. 」。
2024年の論文になります。
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対象と方法
研究の方法は以下の通りです:
- データベース検索:
- 研究者たちは、Cochrane Library、CINAHL Plus、Embase、Medlineの4つのデータベースを使って、2023年6月までに発表された関連研究を検索しました。
- 検索には、乳がんや体組成に関連するキーワードを使用しました。
- 選定基準:
- 乳がんステージIからIIIの患者さんを対象とした研究。
- 筋肉量(SMI)が報告されている研究。
- 英語で書かれた研究。
この研究の方法を通じて、乳がん患者さんにおけるサルコペニアの影響を詳しく調べることができました。
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結果
サルコペニアの有病率
この研究では、乳がん患者さん(ステージI~III)のサルコペニアの有病率が32.5%であることがわかりました。
サルコペニアの有病率は12.2%から73.2%まで幅がありました。
治療結果への影響
サルコペニアが治療結果に与える影響についても調査しました。
サルコペニアのある患者さんは、化学療法中に重篤な毒性(グレード3/4)を経験するリスクが高く、内分泌関連の毒性リスクも高いことがわかりました。
また、化学療法の投与量の減少や遅延、入院のリスクも高まりました。
生存率への影響
サルコペニアが生存率に与える影響についても調査しました。
多くの研究で、サルコペニアがある患者さんは、病気の再発や全体的な生存率が低いことが示されました。
しかし、一部の研究では、サルコペニアと生存率の関連が見られないか、逆の結果が報告されました。
筋肉量のメタ解析
12の研究を対象に、筋肉量のメタ解析を行いました。
その結果、乳がん患者さんの平均筋肉量は43.94 cm²/m²であることがわかりました。
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まとめ
サルコペニアは、単なる筋肉量の減少ではなく、治療効果や生存率に影響を与える重要な要因です。
乳がん治療の過程でサルコペニアのリスクを認識し、早期に筋肉量の低下を特定し、適切に管理することが重要です。
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感想
研究によって幅はありますが、少なくても10%以上、多ければ70%程の乳がんサバイバーがサルコペニアと診断されるということは非常に重要だと思われる。
治療前の時点でサルコペニアとなっている乳がんサバイバーも一定数いるようです。
サルコペニアの有無が治療効果や生存率と関連していますので、乳がんサバイバーに対する術前の評価として、筋量やサルコペニアはチェックしておいた方がよさそうです。
サルコペニアの診断基準に関してはコチラにを参考にしてみてください。
・サルコペニアの有病率は32.5%で、低筋肉量は化学療法の毒性や治療の遅延、治療中止と関連していました。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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