前回は、抗がん剤治療による末梢神経障害(CIPN)に対して、血流を増加させることで改善が認められるが調査した研究を紹介しました。
パクリタキセルとオキサリプラチンという抗がん剤は血流を減少させますが、薬剤で血流減少を防ぐと神経症状も改善するという結果でしたね。
血流を増加させるだけで症状が改善してくれるなら、なんとか自分でも対応できそうですね。
さて、その神経症状が出やすいことで知られているオキサリプラチンですが、大腸がんの治療としてよく使用されています。
神経症状と一言でいっても、痛みや温覚、冷覚など様々ありますが、どのような症状に特に注意が必要かわからないですよね。
そこで、今回はオキサリプラチンの神経障害の症状や対処法について調査した論文を紹介します。
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今回紹介する論文は、オキサリプラチンの神経障害の症状や対処法について調査した内容になります。
「Ling B, et al. Behavioral and pharmacological description of oxaliplatin-induced painful neuropathy in rat. Pain. 2007 Apr;128(3):225-234.」 2007年の少し古い論文になります。
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方法
この研究では、ラットを対象に、オキサリプラチンが大腸がんの治療に使用されること、副作用として神経障害が起こることがあり、その症状や治療法について調べられています。
具体的には、ラットにオキサリプラチンを投与し、その後の神経障害の症状を観察しました。
観察された症状には、冷たいものへの過敏反応や機械的な刺激に対する過敏反応などがあります。
さらに、様々な薬剤がその症状を改善する効果があるかどうかも調べられました。
試された薬剤には、モルヒネ、リドカイン、カルバマゼピン、ガバペンチン、クロミプラミン、ベンラファキシン、カルシウムおよびマグネシウム溶液などがあります。
統計の方法としては、分散分析(ANOVA)とボンフェロニのt検定が使用されました。
これらの方法は、複数のグループ間で平均値に有意な差があるかどうかを調べるために使用されます。
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結果
Ling B, et al. Behavioral and pharmacological description of oxaliplatin-induced painful neuropathy in rat. Pain. 2007 Apr;128(3):225-234.
「Fig1」は、オキサリプラチン投与後のラットの体重と握力の変化を示しています。
この図から、オキサリプラチン投与後、ラットの体重が減少し、握力が低下することがわかります。
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Ling B, et al. Behavioral and pharmacological description of oxaliplatin-induced painful neuropathy in rat. Pain. 2007 Apr;128(3):225-234.
「Fig2」は、オキサリプラチン投与後のラットの機械的な刺激に対する過敏反応を示しています。
この図から、オキサリプラチン投与後、ラットは機械的な刺激に対して過敏反応を示すことがわかります。
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Ling B, et al. Behavioral and pharmacological description of oxaliplatin-induced painful neuropathy in rat. Pain. 2007 Apr;128(3):225-234.
「Fig3」および「Fig4」は、オキサリプラチン投与後のラットの温冷覚異常を示しています。
これらの図から、オキサリプラチン投与後、ラットは冷たいものや熱いものに対して過敏反応を示すことがわかります。
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Ling B, et al. Behavioral and pharmacological description of oxaliplatin-induced painful neuropathy in rat. Pain. 2007 Apr;128(3):225-234.
「Fig5」および「Fig6」は、様々な薬剤がオキサリプラチンによる神経障害の症状を改善する効果を示しています。
これらの図から、マグネシウム溶液とベンラファキシンは鎮痛効果があり、ガバペンチン、クロミプラミン、リドカインは鎮静効果があることがわかります。
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オキサリプラチンによる神経障害が、痛みや温冷覚の異常などの症状を引き起こすことが示されました。
また、様々な薬剤がその症状を改善する効果が期待される結果でした。
今回の結果を役立てるためには、オキサリプラチン治療を受ける際に、医師と相談して、神経障害の症状が出た場合には、マグネシウム溶液やベンラファキシンなどの薬剤を使用することができるかどうか確認してもいいかもしれません。
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CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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