運動が苦手な人必見!! 毎日3秒間の筋トレでも効果が期待できる!! 

今回は、肘関節を曲げる筋肉に対して毎日3秒間の筋トレでも効果があるのか、3種類の筋トレ方法を検証した論文を紹介します。

 

高齢者でもがん患者さんでも運動が大事なのは説明してきたとおりです。

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しかし、がん患者さんは体調等の問題もあり、運動の実施率があまり高くないことが問題となっていましたね。

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それでは、もっと簡単に筋力をアップできる方法はないのでしょうか?

そこで今回は、肘関節を曲げる筋肉に対して毎日3秒間の筋トレでも効果があるのか、3種類の筋トレ方法を検証した論文を紹介します。

まとめ
・肘関節を曲げる筋肉に対して毎日3秒間の筋トレでも効果があるのか、3種類の筋トレ方法を検証した論文を紹介。

・対象は健康な大学生49名で、最大限の筋収縮を1日1回(3秒),週5日(月~金),4週間(計20セッション)実施した。

・結果として、遠心性収縮トレーニングのみが、ほぼ全ての筋収縮様式においてMVCトルクを増加させた。

・高強度の遠心性収縮であれば数秒間の運動でも筋力がアップする可能性があるので、あまり長時間の運動ができない場合には、かなりきつい運動をゆっくりと1日1回だけ行うというのもありかもしれない。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、肘関節を曲げる筋肉に対して毎日3秒間の筋トレでも効果があるのか、3種類の筋トレ方法を検証した内容になっています。

「Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, et al. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.」 2022年に発行された最新の論文になります。

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対象

The independent variable was the resistance training mode; isometric, concentric, and eccentric. A total of 49 (35 males and 14 females) healthy university students were placed to a control group (n = 10) that did not perform any daily training but had measurements twice over 4 weeks, and one of the three training groups based on the muscle contraction mode; isometric (ISO, n = 13), concentric (CON, n = 13), or eccentric contraction training group (ECC, n = 13) (Figure 1). The one MVC per day training was performed 5 days a week for 4 weeks in the three training groups. The dependent variables included isometric MVC (MVC-ISO) torque at three different angles (20° [0.35 rad], 55° [0.96 rad], and 90° [1.57 rad]), concentric MVC (MVC-CON) and eccentric MVC (MVC-ECC) torque at two angular velocities (30°/s [0.52 rad/s] and 180°/s [3.14 rad/s]), and biceps brachii and brachialis MT. Changes in these variables were compared among the four groups (three training and one control groups).

Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, et al. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.

対象は上肢の整形外科的疾患がなく、神経筋疾患や慢性疾患の既往がなく、本研究参加前の過去6ヶ月間に上腕の抵抗運動を行ったことがない健康な大学生49名としています。

健康な大学生に協力してもらった研究になりますので、対象は20歳前後の若年者になりますね。

学生に手伝ってもらうと筋トレやストレッチなどの効果は検証しやすいですが、特定の疾患の患者さんや高齢者にも同じことが言えるのかが難しいところです。

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方法

The participants in the training groups performed either isometric MVC, concentric MVC, or eccentric MVC of the elbow flexors once a day (3 s), 5 days a week (Monday–Friday) for 4 weeks (20 sessions in total) using their dominant arms on an isokinetic dynamometer (Biodex System 3.0, Biodex Medical Systems Inc., Shirley, NY, USA). The shoulder joint was set at 45° flexion, and the trunk and pelvis were fixed with belts to the dynamometer chair. Participants in the ISO group performed one MVC for 3 s at 55° elbow flexion. The training angle of the ISO group was adopted as the angle in the middle of the range of motion for the concentric and eccentric contractions as described below. Participants in the CON group were instructed to bend the elbow joint with the maximal effort from 10° (0.17 rad) to 100° (1.75 rad) at the angular velocity of 30°/s. Participants in the ECC group were instructed to resist maximally against the movement of the dynamometer lever arm moving from 100° to 10° of elbow flexion at the angular velocity of 30°/s. Thus, the duration of the muscle contraction time was 3 s in a session for all groups. Verbal encouragement was provided to the participants to generate maximal force.

Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, et al. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.

トレーニングは等速性ダイナモメーター(Biodex System 3.0)上で利き腕を用い,肩関節は45°屈曲に設定され、体幹と骨盤はベルトでダイナモメーターチェアに固定された状態で最大限の筋収縮を1日1回(3秒),週5日(月~金),4週間(計20セッション)実施しています。

 

そして、運動の種類ごとに以下の4群に分けています。

 

①Control group

日常的なトレーニングは行わず、4週間で2回の測定を行う

 

②ISO group

肘関節屈曲55°で等尺性収縮トレーニングを行う

 

③CON group

角速度30°/sで10°から100°までで求心性性収縮トレーニングを行う

 

④ECC group

遠心性収縮トレーニングとして、角速度30°/sで肘関節屈曲100°から10°まで移動するダイナモメーターレバーアームの動きに対して最大限の抵抗を行う

 

等尺性トレーニングとは関節を動かさずに肘を曲げるように力を入れるだけの運動です。

求心性トレーニングとは肘を曲げるように力を入れて、実際に肘を曲げながら行う運動です。

遠心性トレーニングとは、肘を曲げるように力を入れますが、負荷に耐えられずに肘が伸ばされながら行う運動になります。

 

そして、ベースラインと4週後に①最大随意筋収縮(MVC)トルクと②筋厚(MT)を評価しています。

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結果

Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, et al. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.

こちらのグラフは介入の結果を示しています。

(A)のグラフは各トレーニングにおけるMVCトルクを示しています。ISO群では変化なし、CON群とECC群ではセッションにわたって徐々に上昇していました。

(B)のグラフは20回のトレーニングセッションにおけるピークトルクの合計を示しています。ECC群がISO群およびCON群より有意に大きく、ISO群とCON群の間に有意差はありませんでした。

各トレーニングセッション前には、いずれの参加者にも筋肉痛は検出されず、セッション前の平均VASは0.5±0.9mm以下であり、トレーニンググループ間で有意な差は見られませんでした。

Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, et al. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.

こちらのグラフは、各筋トレにおける、それぞれの筋収縮の様式のMVCトルクを示しています。

結果として、遠心性収縮トレーニングは、ほぼ全ての筋収縮様式においてMVCトルクを増加させました。

求心性収縮トレーニングは、遠心性収縮のMVCトルクのみ増加させました。

すべてのトレーニングにおいて筋厚は変わりありませんでした。

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結論

The 3-s eccentric MVC of the elbow flexors performed daily for 5 days a week for 4 weeks increased isometric, concentric, and eccentric MVC torque more than 10%, but such effects were none or less for the isometric or concentric contraction, and no significant changes in MT were evident for conditions. It was concluded that the daily 3-s eccentric MVC over 20 days produced more potent effects than isometric or concentric MVC on neuromuscular adaptations.

Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, et al. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843.

肘関節屈筋の3秒遠心性トレーニングを週5日、毎日、4週間行ったところ、すべての筋収縮様式においてMVCトルクは10%以上増加した。しかし、そのような効果は等尺性や求心性収縮トレーニングでは効果が乏しかった。そして、筋厚には顕著な変化は見られなかった。このことから、20日間にわたる毎日3秒間の遠心性トレーニングは、等尺性または求心性トレーニングよりも強力な神経筋適応の効果をもたらすと結論されています。

 

1日3秒間の筋トレで効果が出るのはすごい結果ですね。

しかし、遠心性収縮というのは、自分で支えきれずに曲げきれなくなってしまうくらいの負荷なので、なかなか設定が難しいですね。

イメージとしては、数秒しか抱えられない重量物を持って3秒間かけて下ろしていくという感じでしょうか。

筋肉痛は出なかったとのことですが、対象が健常な大学生ですので、高齢者や体力が落ちたがん患者さんなどは、負荷が強くて筋肉痛が出るリスクもあると思います。

遠心性収縮は筋痛が出やすいともいわれていますね。

 

しかし、高強度の遠心性収縮であれば数秒間の運動でも筋力がアップする可能性があるとのことですので、あまり長時間の運動ができない場合には、かなりきつい運動をゆっくりと1日1回だけ行うというのもありかもですね。

 

体調や好みに応じて、低強度運動を回数こなすか、高強度運動を1回だけゆっくりやるか選択してもいいようですね。

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まとめ
・肘関節を曲げる筋肉に対して毎日3秒間の筋トレでも効果があるのか、3種類の筋トレ方法を検証した論文を紹介。

・対象は健康な大学生49名で、最大限の筋収縮を1日1回(3秒),週5日(月~金),4週間(計20セッション)実施した。

・結果として、遠心性収縮トレーニングのみが、ほぼ全ての筋収縮様式においてMVCトルクを増加させた。

・高強度の遠心性収縮であれば数秒間の運動でも筋力がアップする可能性があるので、あまり長時間の運動ができない場合には、かなりきつい運動をゆっくりと1日1回だけ行うというのもありかもしれない。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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