今回の記事では、進行したがん患者さんで問題となるがん悪液質に対して行う治療について紹介します。
前々回の記事では、がん悪液質のがん悪液質の診断、病態生理、疫学について紹介しました。
悪液質に関する知識を持って、体重減少や食欲不振、筋量減少に注意する必要があるといった話でしたね。
そして、前回の記事ではがん悪液質が予後やQOLにおよぼす影響について紹介しました。
がん悪液質になると予後やQOL、そして心理的問題に影響を及ぼすようでしたね。
それでは、そのような問題となる悪液質に対して治療は行えるのでしょうか?
そこで、今回は、進行したがん患者さんで問題となるがん悪液質に対して行う治療について紹介します。
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・アナモレリンの摂食中枢の刺激による食欲亢進作用および下垂体刺激による成長ホルモンの分泌と骨格筋における蛋白同化作用が期待されている。
・アナモレリンを使用すると有意に除脂肪体重の増加を示した.
・アナモレリンの有害事象は全体で 41% と比較的少なく,重篤な副作用 2.4%,グレード 3 以上の副作用は 7.2% であった。
・体重は増えるけれども、筋力のアップは認められなかったとのことなので、薬物療法で体重を増やしつつ、運動で筋力をアップさせるということが必要になるかもしれない。
がん悪液質に対する薬物治療の効果
がん悪液質に対する薬物治療としては、最近では「アナモレリン」というお薬が注目されています。
摂食中枢の刺激による食欲亢進作用および下垂体刺激による成長ホルモンの分泌と骨格筋における蛋白同化作用という効果が期待されています。
つまり、食欲が増して、体重が増えて、筋肉がつくことが期待できるというわけです。
Katakami N, Uchino J, Yokoyama T, et al. Anamorelin (ONO-7643) for the treatment of patients with non-small cell lung cancer and cachexia : Results from a randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter study of Japanese patients (ONO-7643-04). Cancer. 2018;124:606-616
こちらがプラセボとアナモレリン100 mg の無作為比較第 II 相試験のプロトコルになります.
治療期間は12週間で、その後28週間フォローアップを行っております。
主要エンドポイントは DEXA 法で測定された除脂肪体重におけるベースラインからの 12 週間の平均変化量です.
Katakami N, Uchino J, Yokoyama T, et al. Anamorelin (ONO-7643) for the treatment of patients with non-small cell lung cancer and cachexia : Results from a randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter study of Japanese patients (ONO-7643-04). Cancer. 2018;124:606-616
こちらのグラフが試験の結果となります。
プラセボ群の-0.17±0.17 kg に対してアナモレリン群では 1.38 ±0.18 kgと有意に除脂肪体重の増加を示していました.
各評価時点での測定値をみると,アナモ レリン群では投与 3 週後には既に除脂肪体重が増加して おり,その効果は 12 週にわたって持続していました.
また,副次的エンドポイントとして QOL-ACD を用 いた食欲の評価も行われ,アナモレリン群では投与 1 週 目で食欲の改善がみられました.
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がん悪液質に対する薬物治療の有害事象と忍容性
アナモレリンの有害事象は全体で 41% と比較的少なく,重篤な副作用 2.4%,グレード 3 以上の副作用は 7.2% でした.
項目別では刺激伝導系の抑制が 10.7%,高血糖,糖尿病の悪化がそれぞれ 4.3%, 肝機能障害 6.3% でした.
さら に,BMI<20 かつ 6 ヵ月の体重減少が 2% 未満の進行肺がんおよび消化器がんの患者を対象に,アナモレリ ンの投与期間も 24 週まで延長して実施されたところ、体重増加と食欲改善を認め,忍容性も良好でした.
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がん悪液質に対しての治療というのは、なかなか有効なものがなかったのですが、今回の「アナモレリン」は、食欲亢進や体重増加すると期待されています。
少しずつ使用している病院も増えてきているですので、実際の効果が徐々に明らかになってくるでしょうね。
一方で、体重は増えるけれども、筋力のアップは認められなかったとのことなので、薬物療法で体重を増やしつつ、運動で筋力をアップさせるということが必要になりそうですね。
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・アナモレリンの摂食中枢の刺激による食欲亢進作用および下垂体刺激による成長ホルモンの分泌と骨格筋における蛋白同化作用が期待されている。
・アナモレリンを使用すると有意に除脂肪体重の増加を示した.
・アナモレリンの有害事象は全体で 41% と比較的少なく,重篤な副作用 2.4%,グレード 3 以上の副作用は 7.2% であった。
・体重は増えるけれども、筋力のアップは認められなかったとのことなので、薬物療法で体重を増やしつつ、運動で筋力をアップさせるということが必要になるかもしれない。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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