高齢がん患者は運動に意欲はあるが実施率が低い!

今回は、高齢がん患者さんの運動の実施率や運動に対する意欲を調査した論文を紹介します。

この論文では高齢がん患者さんの運動を推奨する記事を書いています。

血液がん移植後の体力低下やフレイルの有症率は?

2022年4月12日

運動は大事なことは多くの方が話してますけど、高齢がん患者さんは運動を実施できているのでしょうか?

以前に、乳がんサバイバーの運動の実施率が低いことを紹介しましたが、平均年齢が50歳代なので、高齢がん患者さんとは言えない年齢ですね。

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2022年3月4日

そこで今回は、高齢がん患者さんの運動の実施率や運動に対する意欲を調査した論文を紹介します。

まとめ
・高齢がん患者さんの運動の実施率や運動に対する意欲を調査した論文を紹介。

・推奨される運動指針を満たしている参加者は半数以下であった。

・ほとんどの高齢がんサバイバーは、運動カウンセリングを受け、運動プログラムに参加することに興味または可能性を示していた。

・運動を実施するためには、健康リスクの増加および運動の利点について教育を行う必要がある。患者さんとしては運動の効果に対する利害が必要と思われる。

・運動強度は低強度から始めて、耐久性に応じて徐々に中強度まで高める屋外ウォーキングプログラムを行うことが望ましい。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、高齢がん患者さんの運動の実施率や運動に対する意欲を調査した内容になっています。

「Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.」、2021年に発行された新しい論文です。

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対象

The inclusion criteria were as follows: (i) aged 65 or above; (ii) a confirmed diagnosis of cancer; (iii) completion of primary cancer treatment for at least 3 month prior to recruitment with no evidence of recurrence or occurrence of additional cancers. Participants were excluded from the study if they were unable to communicate in Cantonese or Putonghua (the two main dialects spoken in Hong Kong) or were not competent to provide written informed consent. Due to the lack of related studies in older cancer survivors, the sample size of the quantitative study was based on previous studies with sample mean age close to 60, in which the proportions of participants meeting exercise guidelines and showing interest in exercise counselling/programming were approximately 25% and 75%, respectively [[18][19][20]]. To construct a 95% confidence interval for such proportions with a margin of error of 5%, at least 288 participants were needed.

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

対象の条件は(i)65歳以上、(ii)がんの確定診断がついている; (iii)がんの再発がなく、治療前3か月前までにがんの治療が完了していることとなっています。

コミュニケーションをとることができなかった場合、または書面によるインフォームドコンセントを提供する能力がなかった場合、研究から除外されています。

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方法

Exercise levels were measured by the International Physical Activity Questionnaire Short Form (IPAQ-SF) [21]. The total minutes of moderate and vigorous exercise per week were computed to determine whether a participant met the recommended exercise guideline by the American College of Sports Medicine Roundtable (150 min of moderate aerobic exercise or 75 min of vigorous exercise per week) [22].

Preferences about exercise counselling and programming were assessed using the questionnaire designed for cancer survivors by Jones and Corneya [23]. The questionnaire has two parts: five closed-ended questions to assess exercise counselling preferences and 10 items designed to tap the preferred specifics of an exercise program. The questionnaire was translated into Chinese and used with Chinese cancer survivors [19].

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

運動レベルは、国際身体活動アンケートショートフォーム(IPAQ-SF)によって測定されています[ 21 ]。

参加者がアメリカスポーツ医学会で推奨される運動ガイドライン(中程度の有酸素運動150分または週75分の激しい運動)を満たしているかどうかを判断するために、週あたりの中程度および激しい運動の合計分数が計算されました[ 22 ]。

運動の好みを評価するための5つのクローズドエンドの質問と、好きな運動プログラムを調査する10の質問を用いて、運動の意欲や好みを調査しています。[ 19 ]。

Frailty status was assessed using the Fried frailty criteria [24]: slowness; weakness; weight loss; exhaustion [25]; and low activity [21]. The cut-off was based on the Taiwanese population [26]. Participants who fulfilled none of the criteria were considered robust, participants who fulfilled 1 or 2 criteria were considered pre-frail, and participants who fulfilled ≥3 criteria were considered frail.

Cancer-related symptoms were measured by the European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire. The questionnaire consists of nine symptom scales/items, with higher scores on symptom scales/items representing higher levels of symptom burden [27].

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

フレイルの評価は、握力、体重減少、歩行能力低下、倦怠感、低活動量からなるフリードの基準を用いています。

QOLの評価表を用いて、がん関連の症状も測定しています。

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結果

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

こちらの表は対象者の特徴を示しています。

567人のがんサバイバーのうち、290人が質問票に同意して回答しました(回答率= 51.1%)。

平均年齢は70.11歳でした(SD =4.79;範囲=65–94)

がん種は、​​乳がんが最も多く(39.7%)、他には大腸がんや前立腺がんが多かったです。

治療からの期間は、がん治療を終えてから約69ヶ月が経過していました。

プレフレイルが74.5%、フレイルが9.3%となっています。

症状スケールのうち最も重篤な症状は不眠症(22.2; SD = 29.8)、倦怠感(15.7; SD = 20.3)、および痛み(14.5 SD = 19.8)でした。

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

こちらの表は、高齢がん患者さんの運動実施がガイドラインで推奨しているレベルを満たしているかを示しています。

全体として、参加者の58.3%が推奨される運動ガイドラインを満たしておらず、44.1%が高~中程度の運動を行っていませんでした。

強度の高い運動はできていませんが、平均して30-40分程度の運動を週2-3回実施できているので、まあまあ運動できている気はしますけどね。  

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

参加者の66.9%が、がんになった後に運動カウンセリングを受けることを希望していました。

特に治療後に運動カウンセリングを受けることを希望していました(67.6%)。

推奨される運動指針を満たしていない人(35.5%)には、治療後1年以上経過してからの運動カウンセリングを希望する人が多い傾向でした。

多くの方がカウンセリングはがんセンター(36.2%)または自宅(33.8%)で行われることを希望していると回答しています。

運動カウンセリングの実施方法としては、「対面」が望ましいと回答しています(77.9%)。

 

運動プログラムへの参加については、42.8%が「ぜひ参加したい」、20%が「興味があるかもしれない」、46.6%が「参加できると思う」と回答しています。

約3分の1の人が一人で運動することを希望しています。

多くの方が、屋外での運動(39.0%)と早朝または午前中の運動(60%)を希望していました。

さらに、ほとんどのサバイバーは、ウォーキング(61%)、ストレッチング(63.1%)、レクリエーション活動(99.3%)、指導付きの運動(70.3%)、毎回同じ活動を行う(69.3%)を希望していました。

運動指針を満たしていない人は、低強度の運動を好む傾向が強く(59.8%)、中強度の運動はあまり好まない(26%)傾向であり、運動指針を満たしている人は低強度の運動(41.3%)と中強度の運動(42.1%)を同様に好む傾向が見られました。

 

表4では、フレイルな患者さんは推奨される運動指針を満たす可能性が低く(aOR = 0.194, 95%CI = 0.053, 0.712)、痛みのレベルが高い人は運動指針を満たす可能性が高いことを示しています(aOR = 1.02, 95%CI = 1.00, 1.03 )。

運動カウンセリングを受けることを希望することは、中等教育以上(aOR = 2.32, 95%CI = 1.30, 4.15)、化学療法による治療歴(aOR = 1.91, 95%CI = 1.07, 3.40)、および疲労度(aOR = 1.02, 95%CI = 1.00, 1.04)と正の関連があり、呼吸困難のレベル(aOR = 0.982, 95%CI = 0.964, 1.000)とは負の関連を示しました。

さらに、運動プログラムへの関心は、女性であること(aOR = 2.11, 95%CI = 1.15, 3.87)、中等教育以上であること(aOR = 2.80, 95%CI = 1.52, 5)と正の相関があり、吐き気および嘔吐のレベル(aOR = 0.929, 95%CI = 0.867, 0.996) および便秘(aOR = 0.983, 95%CI = 0.967, 0.999)と負の関連がみられました。

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結論

In summary, while fewer than half the participants met the recommended exercise guidelines, most older cancer survivors expressed a definite or possible interest in receiving exercise counselling and participating in an exercise program. Offering face-to-face exercise counselling to older cancer survivors and providing subsequent home-based support is recommended to balance survivors’ preferences and practicability. To optimize the teachable moment, cancer survivors during the transition from active cancer treatment into survivorship should be educated about their increased health risks and the benefits of exercise. Training exercise specialists to provide exercise counselling could be included in care with minimal expense. Because there are mixed responses to preferences of exercise programming, the most appropriate recommendation would be to offer an outdoor walking program starting at low intensity, and gradually increasing to moderate intensity under supervision as tolerated by the survivors. Finally, special emphasis should go on recruiting men and those who have lower education levels, have not had chemotherapy, or suffer from higher symptom burden into exercise trials, as they may be less interested in participating. Assisting frail survivors and those with other duties to form specific feasible plans of how, when, and where to exercise may help to increase their confidence to take up exercise habits.

Cheung DST, Takemura N, Chau PH, et al. Exercise levels and preferences on exercise counselling and programming among older cancer survivors: A mixed-methods study. J Geriatr Oncol. 2021 Nov;12(8):1173-1180.

要約すると、推奨される運動指針を満たしている参加者は半数以下であったが、ほとんどの高齢がんサバイバーは、運動カウンセリングを受け、運動プログラムに参加することに興味または可能性を示していました。

高齢がんサバイバーに対面式の運動カウンセリングを行い、その後の在宅支援を行うことは、サバイバーの希望と実践可能性のバランスを取るために推奨されます。

教えられる機会を最大限に活用するために、積極的ながん治療からサバイバーシップへの移行期のがんサバイバーには、健康リスクの増加および運動の利点について教育を行うべきであるようです。

運動プログラムの好みについては様々な反応があるため、最も適切な推奨は、低強度から始めて、サバイバーの忍容性に応じて監督の下で徐々に中強度まで高める屋外ウォーキングプログラムを提供することが望ましい。

最後に、男性や教育レベルが低い人、化学療法を受けていない人、症状負担が大きい人は、運動試験への参加に関心が低い可能性があるため、特に力を入れて勧誘すべきである。

体の弱いフレイル患者には、いつ、どこで、どのように運動するかという具体的で実現可能な計画を立てられるように支援することは、運動習慣を身につけることへの自信を高めるのに役立つであろう。

 

運動に関心がある高齢がんサバイバーは思ったよりも多い印象ですね。

その効果を理解するためにも、運動に関する教育がやはり重要だと思います。

そして、長期間運動を継続させるためには、低強度運動からの実施がいいようです。

特にフレイルに陥ってる患者さんは運動の効果を理解して、少しずつ運動を行うように頑張りましょう。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

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まとめ
・高齢がん患者さんの運動の実施率や運動に対する意欲を調査した論文を紹介。

・推奨される運動指針を満たしている参加者は半数以下であった。

・ほとんどの高齢がんサバイバーは、運動カウンセリングを受け、運動プログラムに参加することに興味または可能性を示していた。

・運動を実施するためには、健康リスクの増加および運動の利点について教育を行う必要がある。患者さんとしては運動の効果に対する利害が必要と思われる。

・運動強度は低強度から始めて、耐久性に応じて徐々に中強度まで高める屋外ウォーキングプログラムを行うことが望ましい。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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