前回の記事では慢性疼痛のメカニズムについて紹介しました。
慢性疼痛診療ガイドライン．2021
痛みの分類の中には、痛覚変調性疼痛というものがあることも紹介しましたね。
これは以前は心因性疼痛と呼ばれていたのですが、気持ちの問題だけでなく、身体が痛みを感じやすい状態に陥っているということから、心因性疼痛という言葉は使われなくなったようです。
それでは、心因性疼痛という言葉が使われないということは、痛みとこころは関係ないと考えていいのでしょうか？
そこで今回は、痛みとこころの関係について紹介します。
痛みの定義
Raja SN, et al：The revised International Association for the Study of Pain definition of pain：concepts, challenges, and compromises. Pain 2020
痛みとこころの関係を考えるためには、まずは、痛みの定義について考えてみましょう。
こちらは2020年に改訂された国際的な痛みの定義になります。
痛みとは、実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する，あるいはそれに似た，感覚かつ情動の不快な体験と定義されています。
ケガがある状態の痛みはもちろんですが、ケガがない状態であってもケガがあるのと同じような不快な体験が生じると痛みと言っていいということになっています。
つまり、痛みはケガの有無に関わらないという定義になっているということですね。
ひきこもり・不登校・休職からの社会復帰の悩みに
痛みとこころの関係
結論から言うと、前回の記事ですでに、痛みとこころは関係があることを説明していましたね。
こちらの図の⑤の部分で、不安・恐怖などの負の情動によって、わずかな刺激で痛みを艦居るようになってしまうんでしたね。
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こちらは慢性疼痛患者にみられやすい症状を示しています。
痛みによって身体的な症状が出ることはイメージしやすいですが、認知・感情・社会・スピリチュアルなどにも影響をおよぼしてしまうんですね。
これだけ、多くの症状が出現しやすいのであれば、痛みは身体的な問題だけでなく、こころとも関係がしそうですよね。
腰痛緩和
今回は、痛みとこころの関係について紹介しました。
痛みの定義や慢性疼痛のメカニズム・症状から考えても、痛みとこころは強く関係してそうです。
次回は、慢性疼痛患者さんに心に対して、簡単にチェックできる方法を紹介しますね！
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・ケガがない状態であってもケガがあるのと同じような不快な体験が生じると痛みと言っていいということになる。
・慢性疼痛は、身体だけでなく認知・感情・社会・スピリチュアルなどにも影響をおよぼすことが多い。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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