がん患者の精神症状やQOLに対するヨガの効果？【ガイドライン解説】

今回は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス（2016年版）より、がん患者の精神症状やQOLに対するヨガの効果について記載している内容を紹介します。

前回は、がん患者の身体症状に対してヨガの効果について記載している内容を紹介しました。

がん患者の身体症状に対するヨガの効果【ガイドライン解説】

2022年9月29日

ヨガはがん患者の痛み、倦怠感、睡眠障害を改善させる可能性があるという結果でしたね。

一方で、がん患者さんは身体症状だけでなく、不安・抑うつといった精神症状も出現しやすく、問題となってきます。。　

身体症状だけでなく、精神症状やQOLに対してはヨガの効果はどうなのでしょうか？

そこで今回は、がん患者の精神症状やQOLに対するヨガの効果について記載している内容を紹介します。

記載内容は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版、から引用させていただいております。

不安に対する効果

3つののシステマティックレビューでは，ヨガはがん患者（乳がん患者がほとんど）の不安を軽減していました。

しかし，サブグルー プ解析を行ったシステマティックレビューでは，ヨガの不安改善効果は，がん治療中には認められたが，治療終了後では対照群との間に差はみられませんでした。

以上より，ヨガは，治療中のがん患者の不安を軽減する可能性があると結論づけています。

抑うつに対する効果

3つのシステマティックレビューでは、ヨガはがん患者（ほとんどは乳がん患者）の抑うつを軽減しました。

しかし、サブグループ解析を行ったシステマティックレビューでは、ヨガの抑うつ改善効果は、がん治療中には認められましたが、治療終了後では対照群との間に差はみられませんでした。

以上より，ヨガは，治療中のがん患者の抑うつを軽減する可能性があると結論づけています。

QOLに対する効果

3つのシステマティックレビューでは， ヨガはがん患者（乳がん患者がほとんど）の全般的QOL を有意に改善する傾向があるとしています。

最も多くの研究を検討したシステマティックレビューでは，8 件の報告を検討し，ヨガは，治療中の乳がん患者の全般的QOL を中等度に改善するとしています。

以上より，ヨガは，治療中の乳がん患者の全般的QOL を改善する可能性があると結論付けています。

まとめ

以上より，ヨガは特に乳がん患者の不安・抑うつの軽減やQOLの改善に効果が期待できるようです。

ヨガってリラクゼーションや瞑想といった内容が含まれますので、身体面だけでなく精神面への影響も大きいのでしょうね。

どうしても、乳がん患者さんの報告が多いですが、他のがん種に対する効果もはっきりと認められるよいいですね。