骨転移患者の放射線治療後の病的骨折のリスクについて

今回は、骨転移に対する放射線治療後の病的骨折のリスクについて調査した研究を紹介します。

前回は骨転移患者さんの自宅退院に関連する要因について紹介しました。

運動機能はもちろんのことですが、家族のサポートも必要という結果でしたね。

骨転移患者さんが自宅退院するために必要なものは?

2022年4月23日

骨転移の患者さんが最も注意しなければならないのが病的骨折です。

骨折しないために薬物療法や放射線治療を行うわけですが、その治療の効果のほどはどうなのでしょうか?

そこで今回は、骨転移に対する放射線治療後の病的骨折のリスクについて調査した研究を紹介します。

まとめ
・骨転移に対する放射線治療後の病的骨折のリスクについて調査した研究を紹介。

・放射線治療後に患者が骨関連事象を発症するリスクを高める危険因子を見出すことができなかった。

・整形外科腫瘍医による評価を受け、そのうちの約2/3が手術による安定化または再建を受け、治療前に切迫骨折が認識されず、放射線治療後に病的骨折を起こした患者は1人だけだった。

・ちゃんと整形外科に評価してもらい、適切な放射線治療を受けると病的骨折のリスクは低いようである。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、骨転移に対する放射線治療後の病的骨折のリスクについて調査した内容になっています。

「Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.」、2021年に発行された論文です。

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対象

This study was an Institutional Board Review approved single-institution retrospective chart study of 96 potentially eligible patients with metastatic cancer to the femur treated with radiation therapy from 2005 to 2018. Patients were identified using the Elekta MOSAIQ (Elekta AB, Stockholm, Sweden) database from the University of Iowa Department of Radiation Oncology.

We included all cancer histologies. Patients with both femurs involved were counted as separate observations. Patients were excluded if they were < 18 years of age, were without follow-up or death within one year of treatment, received < 800 cGy total dose due to incomplete RT course, or had metastatic sarcoma with unknown primary site of disease.

Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.

対象は、2005年から2018年に放射線療法(RT)を受けた大腿骨への転移性がん患者96人です。患者は、アイオワ大学放射線腫瘍科のデータベースを使用して調査しています。

18歳未満、治療後1年以内に経過観察なしまたは死亡した患者、放射線治療が不完全な患者、または原発部位不明の転移性肉腫の患者は除外しています。

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方法

Using the Electronic Medical Record, we recorded patient specific characteristics (age, sex, race, body mass index, Age-Adjusted Charlson Comorbidity Index, smoking history), tumor characteristics (primary cancer type, location of femur metastasis, systemic metastatic burden), surgical details (orthopedic consultation, neoadjuvant RT, adjuvant RT, type of surgical procedure) and radiation treatment details (total dose, number of fractions).

Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.

電子カルテを用いて、患者固有の特徴(年齢、性別、人種、肥満度、喫煙歴)、腫瘍の特徴(原発がんの種類、大腿骨転移部位、全身転移)、手術の詳細(整形外科受診、ネオアジュバント RT、アジュバント RT、外科手術の種類)、放射線治療の詳細(全線量、分割数)を記録ています。

放射線治療終了後、患者は死亡または最後の追跡記録が残るまで、大腿骨の骨関連事象の発生を評価するために追跡しています。

骨関連事象には、RT後の骨折の発生、外科的介入を必要とする進行性の痛みまたは不安定性、または再照射が含まれています。

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結果

Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.

こちらは対象者の特徴です。

最終的には、86の大腿骨病変を持つ79人の患者さんが対象となりました。

年齢中央値は59歳(範囲18-90)、追跡期間中央値は放射線照射終了から3.0カ月(範囲0-151.6カ月)でした。

患者は50人が男性で、36人が女性でした。

原発腫瘍の種類は、肺癌(32)、腎臓癌(15)、乳癌(9)、頭頚部癌(6)、前立腺癌(5)、肉腫(5)、黒色腫(4)、皮膚扁平上皮癌(2)、肝細胞癌(1)、直腸癌(1)、卵巣癌(1)、外陰部(1)、すい臓(1)、神経内分泌(1)、多発性骨髄腫(1)及び原発不明(1)でした。

平均照射線量は6.5分割で22.3Gy(1分割8Gy~31分割55.8Gy)でした。

Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.

放射線治療終了後、5人の患者(5/86、5.8%)に少なくとも1つの骨関連事象発生しました。

3人(3.5%)が病的骨折を起こし、3人(3.5%)が再度の放射線治療を必要とし、3人(3.5%)がさらなる外科的処置を必要としました。

外科的治療を必要とした3人のうち、1人は病的骨折と再RT、1人は骨折のみ、1人は再RTのみで後に骨折の危険があり外科的治療が行われています。

RT後に骨折した人の平均放射線量は23.3Gy(範囲20-30Gy)、骨折しなかった人は22.5Gy(8-55.8Gy)と差はありませんでぃした。

骨折までの期間の中央値は69日(範囲24-777)、RT終了時点からの最終フォローアップ期間の中央値は88日(範囲0-4578)でした。

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Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.

今回の調査では、合計5人の患者(5/86、5.8%)が放射線治療終了後に骨関連事象を発症しました。

単変量解析では、骨関連事象や骨折の予測因子となるような危険因子は同定されませんでした。

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結論

In conclusion, our single institution retrospective study evaluating the impact of radiation therapy on MDF found no statistically significant risk factors that increase a patient’s risk of developing a skeletal related event following treatment. We found that nearly half of patients with MDF were evaluated by an orthopedic oncologist, nearly 2/3 of whom received operative stabilization or reconstruction, and only one patient who sustained a pathologic fracture after RT treatment with an unrecognized impending fracture prior to treatment. As MDF is a common site of osseous disease with the potential for high morbidity, it is important that medical and radiation oncologists be educated on the signs and symptoms of impending pathologic fracture that warrant further evaluation.

Mayo Z, Allen BG, An Q, Miller BJ.Skeletal Related Events are Rare After Radiation Treatment for Metastatic Disease of the Femur. Iowa Orthop J. 2021;41(1):83-87.

結論として、放射線治療後に患者が骨関連事象を発症するリスクを高める危険因子を見出すことができませんでした。

骨転移患者さんの約半数が整形外科腫瘍医による評価を受け、そのうちの約2/3が手術による安定化または再建を受け、治療前に切迫骨折が認識されず、放射線治療後に病的骨折を起こした患者は1人だけでした。

骨転移患者さんは、高い罹患率をもたらす可能性のある骨疾患の一般的な部位であるため、内科および放射線腫瘍医が、さらなる評価を必要とする切迫した病理学的骨折の兆候および症状について教育されることが重要である。

ちゃんと整形外科に評価してもらい、適切な放射線治療を受けると病的骨折のリスクは低いという結果ですね。

下の記事を参考にして、乳がんや肺がんなどの患者さんで痛みが気になるような方は主治医に相談して骨転移の問題がないか確認す量にしておきましょう。

骨転移で注意すべきがん種、部位、症状を解説!!

2021年4月20日
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まとめ
・骨転移に対する放射線治療後の病的骨折のリスクについて調査した研究を紹介。

・放射線治療後に患者が骨関連事象を発症するリスクを高める危険因子を見出すことができなかった。

・整形外科腫瘍医による評価を受け、そのうちの約2/3が手術による安定化または再建を受け、治療前に切迫骨折が認識されず、放射線治療後に病的骨折を起こした患者は1人だけだった。

・ちゃんと整形外科に評価してもらい、適切な放射線治療を受けると病的骨折のリスクは低いようである。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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