第11回がん理学療法カンファレンスに参加しました【学会報告】

以前の記事で、高齢がん患者さんの骨粗鬆症診療連携に関する研究を今後行っていくことを紹介しました。

今回、第11回がん理学療法カンファレンスといった場面で、症例紹介とともに研究内容の紹介をさせてもらう機会を頂きましたので、ご報告いたします。

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まとめ
・第11回がん理学療法カンファレンスの内容について紹介。

・がん患者のフレイルやサルコペニアについて聴講できた。

・がん患者さんの骨粗鬆症に関する症例発表,およびがん患者さんの骨粗鬆症診療連携に向けた研究計画を発表した。

がん理学療法カンファレンスとは?

理学療法士にも、医師と同じように様々な専門分野があります。

医師であれば、整形外科、内科、耳鼻科など分かれているように、理学療法士も運動器、スポーツ、脳神経といった疾患等で専門分野が分かれます。

その中の一つに、がん・リンパ浮腫理学療法という、私が専門としている分野があるわけです。

 

がん・リンパ浮腫理学療法研究会では、年に複数回、著明な先生の講演と、応募による一般の理学療法士の発表で構成されたカンファレンスというものがあり、今回、私が発表させてもらう機会を頂きました。

定期的にこのようなカンファレンスや研究会に参加することで、知識をアップデートしたり、自分が頑張っていることをアウトプットしているわけです。

今回参加した第11回がん理学療法カンファレンスの内容について、少し紹介させていただきます。

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教育講演

教育講演は、久留米大学病院の整形外科医の橋田竜騎先生にご講演頂きました。

内容としては、がん患者さんのフレイルやサルコペニアの実態と、それに対する運動療法の重要性についてお話しいただきました。

フレイルというのは、身体が弱って介護の一歩手前になっている状態で、サルコペニアというのは、筋肉の量と運動機能が低下してしまっている状態のことです。

どちらも、最近の高齢者では予防しなければならないと注目されています。

特にがん患者さんは、その病気や治療の副作用等で、フレイルやサルコペニアに陥りやすくなっていると言われています。

 

橋田先生の講義の中では、肝がん患者さんがサルコペニアになると、がんが再発しやすかったり、生存率が低下したりなどの悪影響があること(Harimoto N, Shirabe K, Yamashita YI et al. Sarcopenia as a predictor of prognosis in patients following hepatectomy for hepatocellular carcinoma. Br J Surg. 2013 Oct;100(11):1523-30.)を話されていました。

また、肝がん患者さんに、がんリハビリテーションを行うことは筋肉量のアップ(Koya S, Kawaguchi T, Hashida R, et al. Effects of in-hospital exercise on sarcopenia in hepatoma patients who underwent transcatheter arterial chemoembolization. J Gastroenterol Hepatol. 2019 Mar;34(3):580-588.)や予後改善(Hashida R, Kawaguchi T, Koya S, et al. Impact of cancer rehabilitation on the prognosis of patients with hepatocellular carcinoma. Oncol Lett. 2020 Mar;19(3):2355-2367)につながるので、やはり運動を行うことは重要なようです。

これらの内容は論文にまとめられているので、機会があったらまたご紹介いたします。

今回の講演を聞いて、改めてがん患者さんの運動の重要性を認識しました。

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一般演題

一般演題は2演題ありまして、そのうち1つに私が発表させていただきました。

内容としては、がん患者さんは骨粗鬆症のリスクが高い方がいらっしゃることを説明して、

 

実際に、骨密度が低下していた骨髄移植の患者さんを症例として提示しました。

まだお若いのに骨粗鬆症になっているような方を、ちょくちょく拝見します。

実際に行った運動や日常生活指導を説明して、経過をお話ししました。

最終的には、運動機能が改善して復職まで可能となって経過が良かった症例でした。

話題提供として、がん患者さんの骨粗鬆症のフォローの実態が明らかになっていないため、先日お話ししたような研究を進めていくことまで報告させていただきました。

座長の先生から多くの質問も頂き、がんリハビリテーションにとって、まだなじみの少ない骨粗鬆症についてアピールできたのではないかと思っています。

 

このように学会や研修会等で日々勉強をしながら、患者さんに正しい知識を提供できるように頑張っています。

今後も皆さんに役立つようなことを提供できるように、勉強したり情報交換していきますね。

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まとめ
・第11回がん理学療法カンファレンスの内容について紹介。

・がん患者のフレイルやサルコペニアについて聴講できた。

・がん患者さんの骨粗鬆症に関する症例発表,およびがん患者さんの骨粗鬆症診療連携に向けた研究計画を発表した。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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