なぜ、がんになったら運動しなければいけないのか?

「運動をすればがんになりにくい」というのは聞いたことがある人が多いと思います。

それでは、がんになった後はどうでしょうか?

がんになると、「治療がきつい」「やせ細っていく」のような悪いイメージが強く、運動を行うようなイメージはない人が多いのではないでしょうか?

「がんになったら運動したほうがよいのか?」 答えはYESです。

ここではその理由を簡単に説明していきます。

がんになったら生活はどう変わるのか?

体がだるくなる

がんの種類や進行度、治療の種類によって差はありますが、病気や治療の影響で体のだるさが出やすくなります。

食欲が減って、食事の量が減ってしまい、だるさが出てくることもあります。

痛みが出る

これもがんの種類や進行度によって差がありますが、がんが進行すると痛みが出やすくなります。

他にも治療の種類によっては、その副作用で痛みが出ることもあります。

免疫が落ちる

免疫とは体の抵抗力のことです。 免疫が落ちてしまうと、風邪をひくなどの体調を崩しやすくなってしまいます。

特に抗がん剤治療を行ったがん患者さんは、治療後に免疫機能が低下しやすくなります。

他にも、手術でリンパ節をとったがん患者さんは、免疫機能が落ちるため感染に注意しなければなりません。

活動量が減る

体のだるさや痛みなどの身体症状が出現すると、日常生活で動く量が減ってきます。

症状が強くなくても、感染に注意して、あまり外に出歩かなくなる方もいます。

体がむくみやすくなる

何度もしつこいですが、これもがんの種類や進行度、治療の種類によって異なります。

抗がん剤の副作用だったり、リンパ節をとったことが原因でむくみやすくなることがあります。

他には、肝臓や腎臓の機能が落ちることや食事の量が減ることも、むくみの原因になります。

活動量が落ちて、足の血流が悪くなってしまい、むくむこともあります。

体力が落ちる

ここでいう体力は「持久力」、つまり長く歩けないとか、長く立っていられないといった症状になります。

体のだるさが原因になることもありますし、活動量が落ちた日々が続くと体力が落ちていきます。

筋力が落ちる

ここでいう筋力は「パワー」、つまり力が弱くなったとか、立ち上がりにくくなったという症状になります。

持久力と同じように、活動量が落ちた日々が続くと筋力が落ちていきます。

食事の量が落ちると、筋肉になる材料が不足するため、筋肉がなくなっていき、筋力が低下します。

また、がんという病気自体も、進行していくと筋肉をやせ細らせてしまいます。

落ち込みやすくなる

がんと診断されると、特に症状はなくても、診断されただけで気持ちが落ち込んでしまうことが多いです。

その上、様々な症状が出現するとその落ち込みは強くなります。

そして、筋力や持久力などの体の機能が落ちていることを実感することも、落ち込みの原因となります。

活動量が落ちて、出歩くことが少なくなると、人付き合いも減ってしまい、一人で落ち込むことが多くなってしまいます。  

がんになったら運動したほうがいい理由

がんになると、上記のような様々な悪いことが出現しやすくなります。

がんの治療は手術療法、化学療法、放射線療法の3つが主流となっておりますが、最近では運動も治療の一環として行うことが勧められています。

その理由を説明していきます。

がんになった後の運動の効果

筋力・体力が向上する

がん患者さんでも、健康な人と同様に、運動を行うことで筋力や体力が向上することが報告されています。

体の症状やがんの病態によっては、強すぎる運動は避けた方がよい場合もありますが、軽めの運動でも筋力や体力を維持させることは期待できます。

体のだるさなどの症状が減る

運動することで、がん患者さんの体のだるさが減ることが報告されています。

それ以外にも、痛みや息苦しさなどの症状が減ることも認められています。

日常生活でできることが増える

運動して、筋力がついたり、症状が改善することで、それらが原因でできなかったことができるようになってきます。

具体的には、歩く距離が長くなってきたり、しゃがむ動作がしやすくなったりなどが多いです。

むくみが減る

日常生活でできることが増えると、動く量も増えてきます。

動くときには筋肉を使います。 筋肉が働くと、血流やリンパの流れが改善して、むくみが改善することが期待できます。

気持ちの落ち込みが改善する

症状が改善したり、できることが増えてくると、前向きな気分になって落ち込みが減ってきます。

運動を行うこと自体も気持ちの改善に効果があることも報告されています。

長生きできるようになる

症状の改善や体の動きがよくなることで、長生きできるのではないかと考えられています。

研究でも、運動を行った方が長生きしやすくなることが、徐々に報告されています。

がんと共存する時代

このように、がんになると様々な悪いことが起こりやすいですが、運動を行うことでそれらが改善することが期待できます。

最近では、治療の進歩とともに、がんになっても、その後長生きできる人も増えてきています。

今では2人に1人ががんになるといわれており、かつては「不治の病」のイメージでしたが、現在はがんと共存する時代といわれ、身近な病気となりつつあります。

例えば、あなたが高血圧になって、薬での治療が開始されたとします。

高血圧を改善させるためには、運動したほうがいいのは、多くの人がご存じでしょう。

高血圧になったからといって、落ち込んで、運動しても意味がないとは考えないですよね?

高血圧と比較はできないでしょうが、がんもそれくらい身近な病気になってきており、「がんになったらまずは運動しよう」と考えてもいい世の中になってきていると思います。

手術や化学療法と違って、運動は自分の意志で、自分で調整しながら行える治療です。

どんな軽めの運動でもいいので、まずは始めてみましょう。

このページでは概要しか記載しませんでしたが、このブログの記事では、がんリハビリに関する内容をガイドラインや論文などをもとに、根拠のある情報を発信していきます。

記事の内容を参考にしてもらえれば幸いです。

注意点

このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。