前回は 第26回日本緩和医療学会学術大会において、優秀演題を受賞したことを報告させて頂きました。
受賞した演題名は、「入院化学療法中の造血器腫瘍患者の倦怠感に関連する因子の検討」です。
簡単に言うと、血液がん患者さんの体のだるさの原因を調べた研究です。
以前もお話ししたように、血液がん患者さんは軽めの運動でも行った方がいいのですが、体がだるくてできないことが多いです。
体のだるさの原因がわかれば、それに対応して、運動を積極的に行えるようになるかなと思って調べてみました。
今回はその内容について紹介させていただきます。

・血液がん患者さんのだるさの一番大きな原因として「うつ」が挙げられた。
・ほかの原因としては、痛みや日常生活動作も挙がった。
・からだがだるいときは、なんとか気分転換してみるといいかも。
対象
今回の研究の対象は、入院して抗がん剤治療を実施した血液がん患者さん90名です。
平均年齢65.3±13.3歳となっています。
方法
体のだるさ(倦怠感)はCancer Fatigue Scaleという質問紙を使用して点数化しています。
点数が高いほど倦怠感が強いということになります。
そして、倦怠感の原因となりそうなものとの関係を調査しました。
倦怠感の原因となりそうなものを以下の通りです。
【基本情報】
性別、年齢、ヘモグロビン、CRP、栄養状態
※ヘモグロビンは貧血の指標、CRPは炎症の指標です。
【運動機能】
握力、膝伸展筋力、歩行速度、ADL
※膝伸展筋力は脚の筋力、ADLは日常生活を手助けなく行える能力のことです。
【身体症状】
痛みの有無、睡眠障害の有無
【精神症状】
不安、うつの強さ
個人的には血液がん患者さんは、貧血が強いので、貧血で倦怠感や息切れがあるんじゃないかなと予想しました。
また、治療中に運動機能も落ちるので、筋力や体力が落ちて疲れやすいなんてこともありそうですよね。

結果
最も倦怠感の原因となっていたのは「うつ」でした。
それ以外には、痛みの有無やADL(日常生活動作)が原因として挙がりました。
貧血や筋力が、あまり関係ないのはちょっと意外でしたね。
血液がん患者さんは、運動機能や身体症状に関わらず、うつになると倦怠感が生じやすいということですね。
すべてを精神的な問題に考えるのはダメですが、
「病も気から」という言葉通り、気持ちを強く持つことは大事ですね。
体がだるくて動けないようなときは、なんとか気分転換できるようなことを考えてみるといいかもです。

・血液がん患者さんのだるさの一番大きな原因として「うつ」が挙げられた。
・ほかの原因としては、痛みや日常生活動作も挙がった。
・からだがだるいときは、なんとか気分転換してみるといいかも。
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