骨転移患者のコルセットの効果は??【ガイドライン解説】

以前の記事では、骨転移患者さんが運動を行った方がよいのかについて解説しました。

リスク管理が非常に重要ですが、医師や理学療法士の指示の下でリハビリを行うことは有用ではないかという結論でしたね。

骨転移患者は運動を行った方がいいのか??【ガイドライン解説】

2021年4月20日

腰痛が出現するとコルセットを装着して生活したりしますが、骨転移患者さんも装着したほうがいいんでしょうか?

溶骨性の脊椎(背骨)がもろくなっている場合にはつけた方がいいような気はしますね。

今回も「がんのリハビリテーションガイドライン第2版」から、骨転移の患者さんがコルセットをつけた方がいいかについて紹介します。

この記事の要約
・骨転移があって、病的骨折や脊髄圧迫による麻痺の危険性がある患者に対して、装具を使用することは弱く推奨されている。

・脊椎転移が不安定性があると判断される症例に対して装具を(カラー,コルセット等) 着用すると、初診時に麻痺を認めなかった症例はその後も麻痺が出現しなかった。

・論文数が少ないため、装具装着の効果は強くは言えない。

・医師や理学療法士が評価して、脊椎の不安定性があると判断された場合には、コルセットを装着して日常生活や運動を行った方がリスクは少ないと思われる。

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骨転移があって、病的骨折や脊髄圧迫による麻痺の危険性がある患者に対して、装具を使用することは提案されている。

このガイドラインでは、骨転移の患者さんの病的骨折や麻痺の予防として、装具を使用することが効果があるという根拠の強さは「2C(弱い推奨、弱い根拠に基づく)」とされています。

やはり、イメージ通り、コルセットを使用することは多少なりとも効果があるようですね。

実際のリハビリの場面でも、骨折や麻痺の高そうだなって患者さんには、コルセットの作成を推奨してました。

ここからは、骨転移患者さんの装具の使用がどのような効果があるのか、詳細を見ていきましょう。

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骨関連事象の抑制

骨関連事象の抑制は、「重要度9、根拠の強さ:C」とされています。

骨関連事象とは、骨転移に伴って痛みや病的骨折、麻痺の出現などの、患者さんにとって害になる症状が出現することですね。

骨転移の患者さんの生活のためには非常に大事な部分になるので、重要度は高くなっていますね。

脊椎転移患者さんの装具療法に関する2つの観察研究で、その効果が検討されています。

胸腰推の脊椎転移に対する放射線療法を行った骨転移患者さんに対して、放射線療法後にコルセットを装着することの効果について検証しています(Rief H, Förster R, Rieken S, et al. The influence of orthopedic corsets on the incidence of pathological fractures in patients with spinal bone metastases after radiotherapy. BMC Cancer. 2015;15:745.)。

病的骨折の発生頻度はコルセット装着群で 8.6%,コルセットを装着しなかった群で 9.3%に生じており、これらの間に有意差はなかったようです。

しかし、コルセット装着群では、放射線療法前から脊椎の不安定性が強い患者さんの割合が高かったことが結果に影響しているのではないかと考察されています。

つまり、コルセット装着群はもともと骨折しやすい患者さんが多かったので、あまり差が出なかったのではないかということですね。

また、別の報告では、脊椎転移が中等度あるいは重度の不安定性があると判断される症例に対して装具を(カラー,コルセット等) 着用して3か月間生活してもらい、初診時に麻痺を認めなかった症例において、6か月後の時点で全例で麻痺の出現はなかったとされています(中田英二,杉原進介,尾崎敏文.脊椎 SRE(skeletal related events)の保存的治療の治療成績.中四整外会誌. 2014;26:279-83.)。

脊椎に転移がある場合には、医師や理学療法士に、その不安定性をしっかり評価してもらい、コルセットの装着が必要かを検討してもらう必要があるわけですね。

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機能予後の改善

機能予後の改善は、「重要度7、根拠の強さ:C」とされています。

この項目では、胸腰椎破裂骨折の患者さんに対して、コルセットを装着することが、日常生活動作や脊椎の変形に効果があるかを検討しております。

ランダム化比較試験1件のみが対象の論文となっています。

体幹装具を着用した 47 症例と,装具を着用しなかった 49 症例の比較において, 受傷後 3 カ月時の Roland Morris Disability Questionnaire Score(RMDQ)や後彎変形に有意な差を認めなかったとされています(Bailey CS, Urquhart JC, Dvorak MF, et al. Orthosis versus no orthosis for the treatment of thoracolumbar burst fractures without neurologic injury:a multicenter prospective randomized equivalence trial. Spine J. 2014;14:2557-64)。

RMDQという評価は、以下の24の項目で、腰痛によって日常生活にどの程度支障が出ているかを評価してもらうものになります。

Fujiwara A, Kobayashi N, Saiki K, Kitagawa T, Tamai K, Saotome K. Association of the Japanese Orthopaedic Association score with the Oswestry Disability Index, Roland-Morris Disability Questionnaire, and short-form 36. 2003. Spine: 28; 1601-7.

骨転移患者さんの中でも、すでに破裂骨折を起こしてしまっている患者さんを対象とした研究になるので、骨転移というより骨折の影響が大きいような印象です。

イメージとしては、コルセットを装着したほうが脊椎が安定するので疼痛も軽減するし、それに伴って動きも良くなる気がしますけどね。

論文数も少ないため、骨転移に対するコルセットの装着はガイドラインでは弱い推奨という結果となっております。

実際に臨床で患者さんの対応をする分には、コルセットで脊椎があまり動かないようにしたり、杖を突いて下肢に体重がかからないようにするのは、かなり疼痛軽減の効果があるような気はします。

それよりもコルセットの問題点は、着脱の難しさや装着時の不快感、装着しているとずれてくるなどのため、長時間・長期間の装着が困難な印象です。

さらには、長時間つけていると褥瘡(床ずれ)もできてしまいますが、その辺を調査した論文はないようですね。

コルセットといっても、柔らかいものや硬いものなどの種類もありますので、ガイドラインには記載されていませんでしたが、どのような種類がいいかの検証も必要でしょうね。

いずれにしろ、医師や理学療法士が評価して、脊椎の不安定性があると判断された場合には、コルセットを装着して日常生活や運動を行った方がリスクは少ないと思います。

装着方法やコツは理学療法士に確認してくださいね。

まとめ
・骨転移があって、病的骨折や脊髄圧迫による麻痺の危険性がある患者に対して、装具を使用することは弱く推奨されている。

・脊椎転移が不安定性があると判断される症例に対して装具を(カラー,コルセット等) 着用すると、初診時に麻痺を認めなかった症例はその後も麻痺が出現しなかった。

・論文数が少ないため、装具装着の効果は強くは言えない。

・医師や理学療法士が評価して、脊椎の不安定性があると判断された場合には、コルセットを装着して日常生活や運動を行った方がリスクは少ないと思われる。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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